エイジングヘアケア

年齢とともに、顔や体形が変化していくように髪にも変化が現れます。抜け毛が多くなる、薄毛になる、白髪が増えるという変化は、個人によりタイミングや状態に違いはあっても自然なものです。

●薄毛の原因

髪の毛には寿命があり、毛母細胞から生まれた髪は成長し、寿命がくると、自然と抜け落ちます。人間の髪は10万本あるといわれ、1日に80本~100本は寿命がきて自然に抜けています。加齢やその他の理由で、毛母細胞の働きが悪くなると抜け毛が増え、薄毛となります。

・男性の場合
薄毛や脱毛症などは、主に遺伝的な要素と男性ホルモンの影響が大きいといわれます。男性は、ヘアサイクルのなかで成長期が短くなり、退行期や休止期にある髪が増えることが薄毛の大きな原因となります。男性型脱毛症はAGA(エージーエー)とも呼ばれ、日本全国に1200万人以上はいるといわれます。男性ホルモンが形をかえたDHT(ジヒドロテストステロン)が毛母細胞の成長を抑えて髪の成長をストップさせてしまいます。これにより髪が十分に成長する前に抜けてしまい、その結果薄毛になります。後頭部から薄毛になる、前頭部から薄毛になる、あるいは両方から、などのパターンがあります。近年では、AGA対策の塗り薬や飲み薬も開発されています。

・女性の場合
遺伝的な要素は男性ほど強くなく、それ以外のさまざまな理由で薄毛となることが多くなります。女性の薄毛を促進する主な要因としては、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、頭皮トラブル、過度のヘアケア、乱れた生活習慣、過度なダイエットなどがあげられます。これらの原因から退行期や休止期にある髪が増え、また、髪の量が大きく変わらなくても髪の毛のハリやコシがなくなると、全体のボリュームがなくなり薄毛と感じられるようになってしまうのです。女性の抜け毛の理由は他にもあり、大きく下図のように4つのタイプに分けられます。下記以外に、病気を原因とした抜け毛もあり、その場合は原因となる病気の治療が優先となります。

pc_haircare08_001

●薄毛の対策

男女共に薄毛の対策としては、頭皮をすこやかに保ち、これから生えてくる髪のためにからだ全体のコンディションを整えることが大切です。

・シャンプー
頭皮をすこやかに保つためには、ヘアケアを適切に行うことが大切です。髪の汚れの多くはお湯で流すだけでも落ちるといわれ、シャンプーは頭皮を洗うスキンケアだと捉えるとよいでしょう。頭皮は顔と同じく、洗いすぎると保護膜として働く皮脂のとりすぎとなり、乾燥による皮脂の産生を刺激します。すると脂っぽくなりまたフケがでて、それが気持ち悪くてまた洗うという悪循環になりがちです。頭皮は手の上でシャンプーを丁寧に泡立てて、襟足から徐々に上にむかってマッサージするように、指の腹をつかって優しく洗っていきましょう。また洗った後、しっかりとシャンプーを落とすために頭皮に手のひらをあてシャワーのお湯をためながらの“ためすすぎ”をするとよいでしょう。シャンプー後はトリートメント等をしたらすぐに髪をドライヤーで乾かしましょう。濡れた状態ではキューティクルが開いたままとなり、髪のダメージにつながるだけでなく、自然乾燥だと、髪や頭皮から必要な水分も奪われがちです。また夏は濡れたままの状態だと雑菌の繁殖にもつながります。

・マッサージ
頭皮マッサージは、毛根に栄養や酸素を運ぶ血流を促す助けとなります。両手の指の腹を使い気持ちよいと感じる力加減で、うなじから頭頂部へ、耳の上から頭頂部へ、こめかみから頭頂部へと、地肌を押し上げるようなイメージで行うとよいでしょう。

・ブラッシング
ブラッシングはヘアスタイルを整える以外にも、髪の汚れを落とす、抜け毛を取り除く、皮脂を髪全体にいきわたらせる、頭皮に適度な刺激を与えることで血流を促すなどの効果が見込めます。ブラッシングをするときは、髪を無理にひっぱらずに頭皮に負担を与えない適切な力加減で行いましょう。

●からだのコンディションを整える

これから生えてくる髪のために、からだ全体のコンディションを整えていきましょう。
まずは質のよい睡眠が大切です。髪の成長に必要な成長ホルモンは深い眠りであるノンレム睡眠の間に分泌されます。髪の毛は夜、生まれるといったイメージです。夜更かしは自ら抜け毛の原因をつくっているようなものです。そしてバランスのよい食事も重要です。なかでも髪をつくるたんぱく質、髪質を守る亜鉛や鉄分、メラニン色素の合成に必要な銅、髪に重要とされるビタミンB群、ビオチンなどが髪の成長に影響を及ぼします。体内の活性酸素を減らすことは、抜け毛予防になるとされていますので、ファイトニュートリエントやファイトケミカルとよばれる抗酸化成分も積極的に食事にとりいれていきましょう。そして、運動を定期的にすることで基礎代謝をあげ、血流を促進し、適正体重を保つことも大切です。肥満は余分な脂肪が血液中に蓄積され、血液の流れを悪くし、ひいては髪の成長にも悪影響をもたらします。精神的ストレスは抜け毛につながりやすいので、ストレスを減らす、またはコントロールするように心がけましょう。

●白髪のメカニズム

髪の毛の黒い色は、毛母細胞にあるメラノサイトがつくりだすメラニン色素です。このメラノサイトの働きが加齢などの理由により低下することにより、メラニン色素が作り出せず白髪になるのです。メラノサイトの働きが加齢により低下している場合、白髪が抜けて次に生えてくる髪もまた白髪となります。過剰なストレスがかかり、メラノサイトの働きが一時的に低下して生えてきた場合は、メラノサイトの働きが戻った場合に限り、次に黒い髪が生えてくる場合もあります。現時点で白髪を根本治療する方法はなく、ヘアカラー、ヘアマニュキアなどでの対処となります。生活全般を整え、からだのコンディションを整えること、メラニン色素の合成に必要な銅や鉄分などを食事に積極的にとりいれることが、いまできる対策といえるでしょう。

関連知識:毛髪の構造
関連知識:髪のダメージの原因

SHARE