運動が与えるからだへの影響

私たちはからだのさまざまな部分を動かしながら生活しています。そして、日常生活での立つ、座る、歩くなどの動作だけでなく、健康増進、競技、趣味を目的として頻繁に運動に取り組む方もいます。これらの動作や運動はからだに多くの影響を与えます。

●運動と筋肉の関係

人はからだを動かすとき、必ず筋肉を使います。筋肉はからだを動かす他にも姿勢を保持しからだを安定させ、外部の衝撃から臓器を守り、熱をつくり代謝を上げるなどのさまざまな働きがあり、生命活動には欠かせない組織です。しかし筋肉量は常に一定ではなく加齢や生活強度に影響されます。生活強度とはその人の生活における活動の負荷や量であり、一日の生活でどの程度、身体活動をしているかを示します。筋肉は刺激を受けることで大きく強くなります。ゆえに日常、よく歩き、からだを動かすことの多い人(生活強度の高い人)と、あまり歩かず、からだを動かさない人(生活強度の低い人)では筋肉の量が異なり、生活強度の低い人は筋肉が少ない傾向にあります。
現代は移動が楽になり家電製品の普及により家事における動作も減り、筋肉をあまり使わなくても生活できるため、意識して運動をしないと筋肉が減少しがちです。また加齢により、人の筋肉は減少します。そのため筋肉を減らさないように運動を積極的に行うことが必要になります。運動を増やすために日常生活で動作や歩行を少しでも増やすようにしたいものです。中でも階段を上るなど重力に逆らってからだに負荷をかける運動は大変効果的です。そしてウォーキングやランニングだけでは得られない筋肉への負荷は、筋力トレーニングなどで補うこともできます。
筋肉を構成している組織である筋細胞は運動により刺激を受け一旦破壊されますが、人のからだには壊れたものを修復する力が備わっており、破壊される前より強くなろうとします。筋細胞を破壊し修復をした際に、超回復という以前よりも強い状態が一時的に起こることにより筋細胞はさらに太くなり、筋肉の量は増加するとされます。筋肉に負荷をかけると筋肉痛が起こる場合があります。これまで筋肉痛は運動により糖が分解されて生じた乳酸が、筋肉内に溜まるために起こるとされてきました。しかし現在の研究では乳酸が原因ではなく、運動し筋肉が伸ばされる際に筋肉が損傷を受けた後、修復される過程で炎症が起こり痛みを生じるという説が有力とされています。ゆえに、筋肉痛が起こることは悪い事ではなく、むしろしっかりとしたトレーニングが行えた結果といえます。

●脂肪燃焼

肥満は摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り体脂肪が過剰になることによって起こります。過剰となった体脂肪が脂肪細胞に蓄えられ、皮下や内臓につくことで体脂肪が増え肥満につながります。肥満は日常の動作や運動に支障をきたすだけでなく、心臓や膝など、からだのさまざまな部位への負担を増やします。しかし蓄積された脂肪は、運動することにより分解、燃焼し、エネルギーとして体外に放出されます。運動時に使われるエネルギーには糖質エネルギーと脂肪エネルギーがありますが、体脂肪を減らすためには脂肪エネルギーを使うことが必要です。一般にからだへの負荷が強く心拍数が上がる運動では糖質エネルギーが使われる割合が高く、負荷の少ない持続的運動では脂肪エネルギーが使われる割合が高いと言われています。負荷の少ない運動では心拍数も大きく上がらず酸素を使って脂肪を燃焼させます。
脂肪を燃焼させるためには負荷のかかり過ぎない中程度の有酸素運動、例えば早歩きや会話ができる程度のランニングがよいでしょう。ただこのような運動でも序盤のエネルギーとしては糖質が使われます。使われるエネルギーが糖質から脂質へ移るまでに約30分とされるため脂肪を燃焼させるには30分以上の有酸素運動を行うとよいでしょう。また運動時の脂肪燃焼効率を上げるために糖質制限という考え方もあります。糖質は炭水化物の中の食物繊維以外の成分で、米、パン、麺類、イモ類、果物などに多く含まれます。糖質の摂取を控えることで、早い段階から脂肪のエネルギーを使うことが期待でき体内の脂肪が燃焼しやすくなると言われています。

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