腸の働き

腸の働きや役目に、近年注目が集まってきています。栄養の吸収、排便だけではなく、免疫力の強化やアレルギー抑制、自律神経の調整などと腸には様々な働きや役割があり、私たちの健康に大きく関係しています。

●免疫システムをもつ腸

食べ物は口から入って、消化、吸収され便となって排出されます。食べ物は胃で胃液により消化、殺菌され、十二指腸に送られます。十二指腸では胃から送られてきたものを、胆汁とすい液で消化します。次に小腸に送られるとさらに消化され、栄養分が吸収されます。小腸は前半の空腸と後半の回腸から成り、回腸には腸管特有の免疫組織があります。小腸はぜん動運動をくりかえして、ゆっくりと食べたものを大腸に送り込み、大腸では主に水分の吸収が行われます。このように、腸は食物を消化し、栄養分を吸収すると同時に、からだに有害物質をとりこまないよう免疫機能を働かせています。

●免疫システムの大部分は腸に

免疫システムのバランスが崩れると風邪のような小さな病気から、悪性腫瘍などの重篤な疾病、そしてアレルギー疾患やリウマチなどの自己免疫疾患など、さまざまな病気にかかりやすくなります。私たちの身の回りにある病原菌などを含む有害物質は、粘膜から侵入することが多く、栄養素を取り込む小腸は有害物質がからだに入り込みやすい場所です。そこで、小腸の壁の内側には強力な免疫組織があり、腸内細菌はこの組織が役割を果たせるよう、働きをサポートしています。このように免疫組織がからだ全体の免疫力に大きく作用しています。免疫力の約7割は腸が関係しているといわれ、残りの3割は自立神経が関係しているとされます。

●ストレスの緩和をする腸内細菌

ストレスの緩和にはセロトニンといわれる脳内神経伝達物質の分泌が重要です。セロトニンはその90%が腸に存在するといわれ、脳に存在するのは2%ほどといわれます。そのわずか2%が精神の安定を左右するといわれています。セロトニンのもとはトリプトファンという必須アミノ酸を原料に、腸内細菌の力を得て腸内で合成され脳へ運ばれます。セロトニンが合成されるのには、腸内細菌のバランスが重要です。セロトニンの分泌により精神安定が保たれ、ひいては自律神経が整い、免疫システムも正常に働くともいわれます。