現代人がかかえる目の問題

目は感覚器官のひとつで、人は情報の90%を目から得ているといわれます。私たちは起きている時間は、ほぼ目を使い続けています。使い方によっては目に大きな負担をかける場合もあります。日々の生活の中で問題を感じていなくても、目の健康に意識を向け、目の不調に早め早めに対処していきましょう。

●パソコンやスマートフォンの影響

近年、私たちは日常的にパソコンやスマートフォン(以下:スマホ)を使用する機会が増えました。ゲームを楽しんでいる人も多いことでしょう。デジタル機器のディスプレイをVDT(Visual Display Terminal)といいます。VDTを使った長時間の作業により、心やからだに起こる症状はVDT症候群と呼ばれます。目への影響は大きく、目の疲れ(眼精疲労)や乾燥(ドライアイ)などを引き起こします。若年層では近視が進む場合もあります。

・眼精疲労

目を使うことにより、目の痛み、かすみ、充血などが起こり、休息や睡眠をとっても十分に回復しない状態をいいます。ディスプレイを見る作業は紙面を見るよりも、目に刺激や負担があり、目は疲れやすくなります。一方で、長時間ずっと同じ悪い姿勢で作業を行うと、全身の血流が滞りがちになり、肩こりや腰痛につながり、肩や腰の筋肉の痛みが目の周りの筋肉にも及び、目の疲れを大きくする場合もあります。また、スマホの利用においては目と画面の距離が近くなりがちです。本来、人の目は遠くにピントが合うようにできているため、近い距離にピントを合わせ続けると、目への負担が増え、眼精疲労に繋がります。

・ドライアイ

角膜の表面を覆う涙の量が減る、質が変わることで起こる状態です。ディスプレイを見続ける作業、乾燥した室内の空気、コンタクトレンズの利用が原因になりがちです。ディスプレイを見る作業では、まばたきの回数が減り、涙が目の表面に十分に行き渡らなくなるためです。涙には角膜や結膜の細胞に栄養を送る役目もあるため、涙が減ると目の表面が傷つくだけでなく、角膜や結膜の細胞への栄養供給が不十分になり、目全体の健康を損なう場合があります。

・ブルーライトによるダメージ

ブルーライトは可視光線の中で、最も紫外線に近い波長域の光で、LEDを使用したパソコンやスマホ、テレビからも多く放出されています。波長が短く散乱しやすい性質があるため、目の中で像がぼけやすく、ピントのずれを生じさせ、それにより目が疲れやすくなるといわれています。網膜がダメージを受けるともいわれていますが、目への影響はまだ明らかにはされていません。また、ブルーライトは太陽光に近い波長で、本来は昼間に浴びるため、就寝前に多く浴びると、体内リズムの乱れや不眠に繋がる場合もあります。

●アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着し、結膜に炎症を起こしている状態です。アレルギー性結膜炎患者の約85%のアレルゲンはスギ、イネ、ブタクサなどの花粉と推定されています。その他ダニ、ハウスダストがアレルゲンとなっている場合もありますが、原因は人によりさまざまです。花粉は古来より存在しているものですが、この30年ほどでアレルギー性結膜炎患者が急増しているのにはいくつかの理由が考えられます。排気ガスやディーゼル粉塵など大気汚染により、異物が花粉に付着し花粉を大きくし、反応を起こりやすくしていることや、人がつくり出した化学物質(農薬や防虫剤、シンナーやペンキなどの有機溶剤)、食品に含まれる添加物もアレルギーを引き起こしやすくしていると考えられています。また細菌や寄生虫が減り免疫システムに変化が起こり花粉への反応が大きくなったともいわれています。予防するにはアレルギー反応を引き起こす原因を調べ、アレルゲンに触れない工夫が大切です。ゴーグルやマスクの使用も効果がありますが、症状によっては点眼や薬の服用が必要な場合もあります。