睡眠のメカニズム

日々の生活の中で睡眠は欠かせないものです。十分に眠って朝スッキリと目覚めると気分が良くエネルギーが湧いてくるように感じます。日中は活動的に過ごし夜には自然と眠くなるのが理想ですが思うように睡眠が取れないもしくは気持ちよく目覚められないという悩みがある人も多いことでしょう。

●睡眠の大切さ

1日に8時間眠る場合、人生の3/1は眠っていることになります。眠っているとき人は脳(大脳)とからだを休ませています。睡眠時間が足りず、満足のいく眠りを得られないと脳とからだの疲れが取れず日中眠くなりがちです。また集中力が低下し、落ち着かなくなることも増えるでしょう。ひいては免疫力や自律神経にも影響を及ぼします。最近では血圧、血糖値の上昇や他の疾病につながるという知見もあります。からだだけではなく、さまざまな心の病気の要因となる場合もあるようです。さらに睡眠不足は本人だけの問題にとどまりません。仕事に集中できず、ミスをすると業務に支障が出ることになります。自動車の運転中であれば事故の原因にもなりかねません。睡眠不足は、周りに及ぼす影響も多く経済的な損失にもつながる可能性もあるため、社会全体の課題になってきています。睡眠は個人の休息にとどまらずさまざまな大切な意味があるのです。

●睡眠中の脳とからだ

睡眠中、脳とからだはさまざまな働きをしています。体温の調整が行われ多様なホルモンが分泌されています。睡眠前半の深い眠りの時間帯に分泌されると言われる成長ホルモンは、子どもの成長を促すだけにとどまらず、大人にとっても細胞の再生、病気への抵抗力の維持、脂肪の燃焼など若さや健康を保つために有意義な働きをしています。また記憶や感情の整理・定着、ストレスの除去、免疫の活性化などが行われるのも寝ている間です。怪我や病気も眠っている間に回復が進みます。

●眠りを生み出すしくみ

人はなぜ眠り目が覚めるのでしょうか。眠りは睡眠欲求と覚醒力のバランスによって形作られています。睡眠欲求は脳の疲れから起こるものです。日中の営みを活発に行うと脳は疲れます。また起きている時間が長いほど疲労は大きくなります。一度眠りに入ると睡眠欲求は小さくなり、そしてその人にとって十分な睡眠が得られたときに消えてなくなります。一方、覚醒力は体内時計から発信されます。体内時計は毎日昼間に人の目を覚まさせる役割を持っており、徹夜明けでも朝になるとスッキリしてくるのは体内時計の働きによるものです。そして覚醒力が睡眠欲求より強くなったときに人は目覚めるのです。体内時計は眠りを誘うホルモン「メラトニン」と連動しています。メラトニンは起きてから14~15時間後に体内時計からの指示により分泌量が増え、朝になるとまた体内時計からの信号により分泌が抑えられます。人は眠っている間は脳を休ませるために体温を低く保ちますが、メラトニンは深部体温(からだの中心部の体温)を下げ休息に適した状態へ導く働きをします。

●レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。「レム」は「Rapid Eye Movement」の略でレム睡眠とは急速眼球運動(まぶたを閉じたまま眼だけが素早く動くこと)を伴う睡眠を指します。ノンレム睡眠は急速眼球運動を伴わない睡眠です。眠りはまずノンレム睡眠から始まり90~110分くらいの周期でレム睡眠が現れ、このサイクルが一晩に4~5回繰り返されます。レム睡眠中からだは休んでいますが脳は活動しており、反復してからだで覚えた動作などの定着や思考の整理などはこの時間に行われています。また夢を見るのもレム睡眠中が多いと言われています。一方ノンレム睡眠は眠りの深さによって3段階に分けられ深いノンレム睡眠に入ると成長ホルモンが分泌されます。細胞の新陳代謝を促して皮膚や骨、筋肉を成長させたり、病気や怪我の回復にあたったりするのもこの時間です。最近の研究では深いノンレム睡眠が記憶に関係することも示されています。いずれの睡眠にも健康な心身を保つために大切な役割があります。

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