ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは運動器症候群のことで2007年に日本整形外科学会が超高齢化社会を見据えて提唱した概念です。ロコモーション(locomotion)は「運動、移動」を示します。運動器とは身体運動にかかわる骨、筋肉、関節、軟骨、椎間板などの総称で、運動器症候群とはその中のいずれかまたは複数に障害が起こり、立つ、歩くなどの機能が低下している状態です。高齢者だけに見られる症状ではなく運動器の疾患はどの年齢層にも起こり得ることです。進行すると日常生活に支障が出るばかりではなく高齢者の場合は寝たきりの原因になる場合もあります。運動機能が低下すると介助や介護が必要になりそれが日常化するとさらに自分で立ったり歩いたりする機会が失われロコモが進んでしまいます。グラフのように要支援・要介護になった原因も運動器の疾患が最も多くなっています。健康寿命を延ばすためにはロコモを予防し、いつまでも自分の力で動けるよう日頃から心がけることが大切です。

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●運動器の性質とロコモの原因

ロコモは加齢や生活習慣による運動器の機能低下が原因の場合と、けがなどによる運動器の損傷が原因の場合があります。年齢を重ねると骨密度や筋力が低下し関節軟骨がすり減るなどの傾向が強まります。骨密度(骨量)は男女とも18歳頃にピークに達し、その後40歳頃まで維持された後に年齢とともに低下します。筋肉量も20歳頃にピークに達し、30代から減少を始めます。関節軟骨は年齢とともにすり減り60歳でピーク時の1/4に減少するとも言われています。また体重とロコモの関係も切り離せません。体重が増加し肥満になるとからだのさまざまな部位に負担がかかり、膝の軟骨の減りが早まったり腰や椎間板を傷めてしまったりする場合があります。そしてけがが直接の原因となりロコモを引き起こす場合もあります。バランス機能が低下すると転倒の可能性が高まり、高齢者が骨折すると完治が難しくなります。治療にも時間がかかり、治療中に筋力が低下しその結果、運動機能が失われることにもつながります。

●ロコモティブシンドロームを引き起こす疾患

疾患が原因でロコモを引き起こす場合も多く見られます。中でも骨粗しょう症、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)はロコモティブシンドロームの三大要因と言われており、注意が必要です。

・骨粗しょう症

骨密度が低下し骨がもろくなる疾患です。軽い転倒や衝撃でも骨折する可能性が高くなります。特に女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには骨の新陳代謝のバランスを保つ働きがあります。女性は閉経後にエストロゲンが急激に減少するため骨密度も低下し骨粗しょう症になりやすく、50歳以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症にかかっていると言われています。エストロゲンが急激に減少することのない男性は緩やかに骨密度が低下していきます。

・変形性膝関節症

膝の関節軟骨が加齢や過度なスポーツ、体重増加によってすり減ったり変形したりする疾患です。膝に痛みが出るため歩く、立つ、座るなどの動きが辛くなります。減ってしまった軟骨は再生されることは難しいため関節周辺の筋肉を強くしておくことが予防と対策になり得ます。必要以上に安静にして動きを控えると筋肉が弱りさらにロコモの症状を悪化させる場合があります。

・脊柱管狭窄症

背骨にかかる負担が原因で椎間板や骨、関節などが肥厚し、背中の管が狭くなり神経が圧迫される疾患です。足腰に痛みやしびれが出るため長い距離を続けて歩くことが困難になります。