現代の空気の状態

私たちを取りまく空気の中には窒素、酸素、二酸化炭素以外にさまざまな異物が混ざっています。呼吸により大量の空気を体内に取り入れていることは同時にそれらの異物も体内に取り入れていることになりますが、その中には健康にとって好ましくないものも少なくありません。異物を含まない澄んだ空気が理想ですがさまざまな要因で空気が清浄ではなくなっているのが現状です。

●大気汚染

大気中には健康に望ましくない物質も多く存在しています。

・PM2.5
大気中に浮遊する直径2.5μm以下の微小粒子状物質の総称です。1μm(マイクロメートル)は1mmの1/1000であり他の空気中の粒子に比べても大変小さいものです。発生源もさまざまです。ボイラーや焼却炉からのばい煙、自動車などからの排気、鉱物の粉じんなど直接排出されるものもあれば、工場や発電所などから排出される硫黄化合物や窒素化合物が大気中で光やオゾンと反応しPM2.5が新たに生成される場合もあります。粒子が小さいため肺の奥まで入りやすく肺に炎症を起こす可能性が高くなり、咳、ぜんそくだけでなく肺がんなど重篤な疾病の原因にもなり得ます。中国では最近の経済発展によりPM2.5による大気汚染が社会問題となっていますが偏西風による日本への影響も軽視できないものとなっています。

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・黄砂
中国を中心とした東アジア内陸部の砂漠または乾燥地帯の砂じんが強風によって上空に巻き上げられ、春を中心に東アジアの広範囲に拡散し降り注ぐ気象現象、またはこの砂じんを黄砂と言います。粒子の大きさは0.5μm~5μmの幅があります。黄砂は偏西風により日本にも運ばれ西日本を中心に影響が見られます。かつては自然現象としてとらえられていましたが現在は森林減少や砂漠化といった人為的要因による環境問題となりつつあります。大量の砂が空中を舞うため空気が濁り景観が悪くなったり屋根や車、洗濯物が汚れたりするという物理的な問題もありますが、砂が体内に入り込むとアレルギー疾患や呼吸器系疾患に繋がる場合があります。最近の研究では、砂に付着しているカビや細菌など微生物が黄砂とともにからだに入り込み疾患の原因になる点も指摘されています。

・ダイオキシン
炭素、塩素、水素、酸素の有機塩素化合物で人の健康や生態系への影響が問題視されているものです。塩素を含む物質が不完全燃焼を起こすと発生します。かつては強力な農薬や除草剤に多く含まれていましたがゴミの焼却などによっても発生するため、現在は法律(ダイオキシン類対策特別措置法)によって排出が規制されています。体内に取り込まれるとからだのシステムを乱し正常な働きの妨げとなり、免疫機能が低下し発育異常を引き起こしたりがんを発症させたりするリスクが高まります。

・光化学スモッグ
工場や自動車から排出される気体に含まれる窒素酸化物や炭化水素が紫外線により光化学反応を起こすと、光化学オキシダントを発生させます。この光化学オキシダントが多く発生すると視界が悪くなり光化学スモッグになります。一定の濃度を超えると光化学スモッグ注意報または警報が発令されます。目や喉の痛み、咳を引き起こすことが多いようですが、症状が重くなると頭痛、吐き気、呼吸が苦しくなったりする場合もあります。

●花粉など生物の影響

生物の中にも空気に混じって健康に影響を及ぼすものがあります。

・花粉
現代では日本人の3人に1人に花粉症の症状が見られるようです。春に飛散するスギ花粉、ヒノキ花粉の影響を受ける人が多いようですが、夏にはイネ科のカモガヤ、ハルガヤなどが、秋にはキク科のブタクサ、ヨモギなどの花粉が飛散しますので一年中注意が必要です。花粉症の人は花粉が鼻や喉、目の粘膜に付着したときにアレルギー反応が起こり、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみを引き起こします。症状が重くなると皮膚のかゆみ、頭痛、だるさや眠気、集中力の低下など全身にさまざまな影響を及ぼす場合があります。

・ハウスダスト
室内にたまるほこりのことです。繊維のクズ、食べかす、カビ、ダニの死骸やふん、ペットの毛、人の毛髪やフケや垢、花粉、たばこの煙などがハウスダストに含まれます。中でも気を付けたいのがダニで、ほこり1gに1000匹いると言われておりハウスダストをえさとしているためほこりの除去を怠るとダニを増やしてしまうことになります。ダニに刺されると比較的腫れやかゆみが強く出ますが、刺されるだけでなく死骸やふんはカビなどと同様に体内に入るとアレルギー症状やぜんそくなど気管支系の疾病を引き起こす原因にもなり得ます。

・ウィルス
インフルエンザウィルスやノロウィルスなどは感染力が高く、重篤な疾患を引き起こします。インフルエンザウィルスの直径は0.1μm、ノロウィルスは0.03μmと非常に小さなものです。

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●室内の環境

室内の空気も健康に好ましくない物質が混じっているなど、注意が必要な場合があります。

・ホルムアルデヒド
刺激臭のある無色の気体で有機化合物の一種です。接着剤や塗料、防腐剤などに使用されています。気化しやすいため室内の気密性が高いと濃度が高くなり、目や喉の痛み、かゆみ、皮膚炎や湿疹、倦怠感、疲れ、食欲不振、下痢の症状が出るシックハウス症候群を引き起こすことがあります。ホルムアルデヒドを発散する建材の使用について現在は法律(建築基準法)で面積の制限が設けられています。一方で使用制限のない家具、雑貨、おもちゃなどのプラスチック製品からホルムアルデヒドが発生する場合も多いため、新たに家具や多くの雑貨を設置した際には十分な換気をするなど注意を払ってみましょう。

・暖房器具
ガスや石油を燃焼させるタイプの暖房器具を使用する場合、ガスや石油は燃焼するときに酸素を必要とするため室内の酸素が減少します。さらに酸素が欠乏すると不完全燃焼を起こし一酸化炭素が発生するようになります。一酸化炭素は高濃度になると生命を脅かす危険があるため、必ず換気をするようにしましょう。