トリクロサン

トリクロサンとは

トリクロサン(英語名:Triclocarbanトリクロカルバン)は、一般的な家庭用の抗菌剤として医薬部外品のうがい薬、食器用洗剤、練り歯磨き、脱臭剤、手の消毒剤、および化粧品等に使用されています。
日本では、「抗菌」や「消毒」をうたった薬用の医薬部外品にトリクロサンが含まれる製品が流通しています。

トリクロサンの使用について

抗菌・殺菌効果のある製品と聞いてまず思い浮かぶのは薬用石鹸ですが、現在の日本では石鹸にトリクロサンを使用する事が禁止されています。これは、2016年9月にアメリカFDA(Food and Drug Administration)が卜リクロサン等を含有する抗菌石鹸の販売を順次停止する措置を発表したのを受けて、日本でも厚生労働省より同様の通達がなされたためです。また、通達に含まれる成分はトリクロサン以外にも、フェノールやトリクロカルバンなど全部で19種が対象とされています。しかし、この厚労省の通達は薬用石鹸に限定されたもので、汗拭きシート、歯磨き粉、化粧水、シャンプーなどの日用品は対象外となっています。こうした製品には、依然として対象の殺菌剤が使用されているケースが残っており、医薬部外品、もしくは薬用の抗菌や殺菌とうたっている製品には注意が必要です。
殺菌効果は通常の石鹸でも十分にあるといわれています。花王生活科学研究所の実験によると、通常の石鹸でごく短い時間手を洗った場合でも、95%以上の除菌効果があったと報告されています。

各国の対応と状況

EUではいち早く、2010年に卜リクロサンの使用が禁止されました。
アメリカでは、2016年にアメリカFDAによりトリクロサンなどを含有する石鹸を米国内で1年以内に販売を停止する措置が発表されました。その際にトリクロサンの使用の有無において、殺菌効果に差はないとの発表もされています。

アレルギーの促進

現在、厚生労働省からトリクロサンそのものによるアレルギーは報告されていません。ただし、トリクロサンは他の成分によるアレルギーを促進させるがことが報告されています。
参照:厚生労働省 医薬・生活衛生局、『トリクロサンの安全性に関する追加情報(平成28年11月28日)』
2005年~2006年のアメリカにおける米国国民健康栄養調査では、16~18歳860例を対象にトリクロサンの尿中濃度と食物アレルギー源に対する関係を調査した結果、尿中のトリクロサン濃度が高い人ほどアレルギーに反応しやすいという報告がありました。
注:アメリカでは約75%の人の尿からトリクロサンが確認されています。
また、2015年にアメリカの国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の発表によると、マウスの実験では3%の濃度のトリクロサンにさらされたマウスは、アレルギー反応が増幅されたという報告もあります。
注:NIOSHは米国疾病対策センター(CDC)の下部組織団体になります。

ノルウェーの厚労省にあたる組織、パブリックヘルス・インスティテュート(Norwegian Institute of Public Health)により、2013年に発表されたノルウェーでの10歳児623人を対象に行った調査では、トリクロサンの尿中濃度が最も高いグループは他のグループに比べ、鼻炎の発症率が高かったといったデータが示されており、花粉症などへの影響も疑われています。その他、アレルギーの促進以外にも、接触皮膚炎や皮膚刺激なども報告されています。

環境ホルモンへの影響

過去の動物実験などによると、トリクロサンの環境ホルモンとしての働きには「あり・なし」両方の報告がありますが、近年カナダ政府のカナダ保健省はトリクロサンを含むパーソナルケア製品の使用により、トリクロサンにさらされることが環境ホルモンの効果の危険性を含むと結論づけています。この調査では妊娠中の女性ほど、尿内から検出されるトリクロサン濃度が高いというデータが示されました。
また、自然界に与える影響としては、水生生物がトリクロサンを吸収すると、それを人間が摂取することになるので、社会的にも考慮が必要です。厚生労働省のデータでは、日本と米国の河川を比較すると、水環境中のトリクロサン濃度はアメリカの方が日本より1~2桁程度高い濃度で検出されています。