ラウリル硫酸ナトリウム ラウレス硫酸ナトリウム

界面活性剤とは

ラウリル硫酸ナトリウムは、さまざまな製品に配合されている界面活性剤の一種です。そもそも界面活性剤とは、水になじみやすい親水性、油になじみやすい親油性という2つの性質をもつため、本来は混じり合わない水と油をうまく混じり合わせるために役立ち、汚れを落とす洗浄の働きをもちます。界面活性剤を使用した主な製品としては、石けんや歯磨き粉、シャンプー、化粧品などがあり、医薬品や食品などにも広く使われています。

ラウリル硫酸ナトリウムとは

ラウリル硫酸ナトリウムは第二次世界大戦中に開発され、アメリカで「Gunk」という製品名で販売されました。油を取り去る強い働きがあるため、脱脂剤として戦車や飛行機のエンジンのすすや油を研磨・腐食させるために使われ、現在も市場に流通しています。
この成分を界面活性剤として石けんやシャンプーなどに転用する際、果たして肌や頭皮に悪影響はないのでしょうか? 一般的には、きちんと用法を守って使用すれば問題はないとされていますが 、皮脂を取り去る働きの強い成分なので、皮膚や粘膜に刺激を与える懸念があります。

皮膚への影響

1991年にデンマークで行われた接触性皮膚炎に対する実験では、ラウリル硫酸ナトリウムによって肌の保湿維持機能が低下し、皮膚刺激が促進されるという研究結果が明らかになりました。また、1994年にオレゴン ヘルスサイエンスユニバーシティの皮膚科学科が行った実験でも、特にアトピーなど皮膚の弱い方にラウリル硫酸ナトリウムを使用すると、炎症などネガティブな作用が顕著に現れるという研究結果が出ています。

口腔への影響

ラウリル硫酸ナトリウムは歯磨き粉などにも使用されるので、口腔内への影響についても研究されています。2019年7月、デンマーク、ノルウェイ、フィンランドなど北欧の歯科学校が合同で行った研究では、ラウリル硫酸ナトリウムを含む歯磨き粉は、あごの上皮細胞の細胞核を変化させる作用があるという結果が出ました。
14名のボランティアが、3種類の歯磨き粉(フッ素なし+ラウリル硫酸ナトリウムなし、フッ素入り+ラウリル硫酸ナトリウムなし、フッ素入り+ラウリル硫酸ナトリウムあり)をそれぞれ2ヵ月間に渡って使用した結果、フッ素のあるなしでは違いがなく、ラウリル硫酸ナトリウム入りを使った場合のみ、あごの上皮細胞に核濃縮や核崩壊が発生。このような変性がさらに進むと、腫瘍ができる可能性も示唆されました。

ラウレス硫酸ナトリウムとは

ラウリル硫酸ナトリウムと同じ硫酸系の界面活性剤としては、ラウレス硫酸ナトリウムがあります。これは、ラウリル硫酸ナトリウムを改良して刺激を軽減した成分ですが、実はこれも安全性について賛否のある成分。化粧品などさまざまな製品に使用されていますが、製造過程でエチレンオキサイドという化合物を使用します。これは環境ホルモンの一種で、農林水産省の定義では、「生体の複雑な機能を調節するために重要な役割を果たしている内分泌系の働きに影響を与え、生体に障害や有害な影響を引き起こす作用をもつ物質」とされています。

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