SDGsと代替食品
代替食品やオーガニック農作品など、地球を守るという視点から世界的に食生活を見直す動きがあります。
●注目される代替食品
環境負荷を減らすことを目的に最近では食肉の代わりに大豆などを原料とした「プラントベースミート」への注目が世界的に高まってきています。食肉の生産には遊牧地や飼料作物栽培地確保のための森林伐採や水資源の使用など、環境への多大な影響が憂慮されています。また、増え続ける世界人口を支えるためには食肉を中心として展開する食生活には限界があります。
平均的な日本人の食事に伴う1人当たりの二酸化炭素排出量※1のうち、全体の約1/4を占めるほどの高い温室効果ガス排出源となっているのが肉類です。日本は諸外国と比べ肉類の消費量は少ないですが、肉類は飼料の生産・輸送に伴う二酸化炭素排出に加え、家畜の消化器から発生するメタンガス等で温室効果ガスの排出量が多くなっているようです。とはいえ、これまで慣れ親しんできた肉食を急に変えるのは難しいことから、牛肉、豚肉、鶏肉のような食感を再現した植物原料の「プラントベースミート」などの代替食品への関心が高まってきています。
プラントベースミートは大豆、蒟蒻などを原料に、加工方法を工夫することで牛肉、豚肉、鶏肉のそれぞれの食感を再現しているものがあります。また、牛乳の代替としてオーツミルク、豆乳、アーモンドミルクなどがあります。チーズの代替品として発芽玄米、ひよこ豆などを原料として作られたヴィーガンチーズ、豆乳などをベースとして作られるスクランブルエッグ状の代替卵などもあります。
●環境負荷を減らすオーガニック農産品
オーガニック、有機栽培という言葉は以前に比べて遥かに一般的になってきているかもしれません。オーガニックとは「農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法(有機JAS認証)」で生産されることであるとされ、オーガニック農産品を選択することは、環境への負荷に配慮するということになります。世界のオーガニック農産品の市場は、2006年の386億ドルから2017年は970億ドル※2と10年ほどで2.5倍に急拡大しています。イギリス、フランス、オーストラリア、スウェーデンなど、国の施策としてオーガニックを推進している国も多く、SDGsを推進していくこれからの時代、オーガニック農産品はますます増えていきそうです。
日本では2000年に「自然に優しい農法」としての有機栽培の基準を定めた有機JAS認証が定められ、基準を満たした農産品には認証マークがつけられ、私達がオーガニック食品を選ぶ時のひとつの基準となります。また有機JAS認証を参考に独自の基準を設けている団体もあります。さらに農薬、肥料を原則として使わない自然栽培という手法を推進している農家や団体もあるようです。
※1:「令和3年度版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(2021年6月8日)」
※2:「食・農・環境とSDGs」一般社団法人 農村漁村文化協会P99
参考:農林水産省HP、「食・農・環境とSDGs」一般社団法人 農村漁村文化協会P99、環境省HP「サステナブルで健康な食生活の提案(2021年 8月30日)」、一般社団法人 自然栽培協会HP