プラネタリー・バウンダリーとは

SDGsのベースとなった「地球の限界」を意味し、人間活動の地球への影響を客観的に評価する一つの方法です。

●科学者によって提唱された地球の限界

プラネタリー・バウンダリーとは「地球の限界」を意味し、人間活動の地球への影響を客観的に評価する一つの方法です。2009年コペンハーゲンで開かれたCOP15(国連気候変動枠組条約第15回締約国会議)でスウェーデンの環境学者ヨハン・ロックストームが、これからの世界では発展のための新しいパラダイム、「安定的で回復力のあるプラネタリー・バウンダリーの範囲内で、貧困の緩和と経済成長を追求するという発展のパラダイム」が必要であることを提唱しました。しかし世界のリーダーたちは、9つあるプラネタリー・バウンダリーのうちの一つ「大気中の炭素を地球規模で安全な範囲内に抑える」という一つの目標についてさえこの時点ではまだ意識が低く、合意に達することができませんでした。
しかし気候変動は漠然とした環境問題ではなく自国の社会経済に直結する差し迫った問題であることを、世界のリーダーたちがようやくこの会議で認識しはじめたとされています。気候問題の解決策は従来の考え方の微修正では十分でなく、経済や金融システム、都市開発や食糧生産などの相互関係を根本的に変えることでしか生まれないという認識は、プラネタリー・バウンダリーの提唱によってようやく共有されたのです。しかし、行動に移すためにはさらに強い認識が必要でした。
その後、問題の提示と共有を目的にヨハン・ロックストロームと写真家マティアスが「プラネタリー・バウンダリー」を出版。安定的な地球を保ちながら、世界が発展する新しいパラダイムを最先端の科学的分析とともに提示し、プラネタリーバウンダリーの考え方が、具体的にビジュアルと共に提示されました。2012年同会議のリオデジャネイロ開催時、この本が130ヵ国以上の各国代表に手渡されました。この頃から研究者や政策立案者が、気候変動など地球規模の問題について議論する際にこのプラネタリー・バウンダリーの概念を採用し始めました。

●SDGsが世界共通の目標となる

プラネタリー・バウンダリーの考え方をベースに、2015年の国連サミットにおいて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で、SDGs(は「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標として全ての加盟国が合意しました。そして今この合意をベースに各国はより具体的な取り組みを進めているのです。

参考:「小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発」丸善出版株式会社

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