水の知識
水は地球上で大きく循環していますが、その循環の過程で、さまざまな物質を含む場合があります。そして水が含む物質が、私たちのからだや生活に多様な影響を及ぼします。
●硬水と軟水
水はとても溶解力が強く、水が経てきたさまざまな過程から水が溶解した物質を含んでいます。水が含む代表的な物質にカルシウムとマグネシウムがあり、水の硬度はこのカルシウムとマグネシウムの量で定義されます。1リットルにカルシウムとマグネシウムの合計量が120mg以上だと硬水になります。一般的に軟水は60mg未満、60~120mgが中硬水、120~180mgが硬水、180mg以上が超硬水と分類されます。一般的に日本の水は、軟水、または中硬水に分類されるものが多く、ヨーロッパでは硬水、超硬水が多くなります。
日本の場合、国土の起伏が激しいことにより、速いスピードで水が移動します。そのため地層内に水が存在している時間が短く、地層に含まれているミネラルを吸収する時間が少ないので軟水になりやすくなります。日本の水は、さらに森林地帯などを通ることにより、有機的な栄養素を含みます。それに対し、ヨーロッパでは、主として地層が石灰岩の所が多く、その中を水がゆっくりと時間をかけて移動するためミネラルを含む「硬水」になるといわれます。そのような地形や土壌の性質の違いから水の硬度の違いが生まれます。販売されている日本の水は、カルシウム・マグネシウムの量が20mg~60mg程度が多く、それに対し、ヨーロッパの水は300mg以上のものが多くなります。
それぞれの水は味わいに違いがあり、軟水はくせがなくまろやかな味わいで、和風の料理に適しています。硬水は苦みがあるような味わいになり和風の料理には適さないこともあります。しかし、和洋関係なく調理の仕方や味付けと共に、より美味しい料理に仕上げるために軟水硬水を使い分けることもあります。
からだへの影響では、軟水はマグネシウムの含有量が少なく、消化器官や肌にも優しく子供やお年寄りでも安心して飲むことができます。また、全般的な体調改善に役立つともいわれています。硬水は、カルシウムやマグネシウムが多いため脳梗塞や心筋症の予防を期待できるといわれているのに加え便通の改善にもよいとされていますが、場合によっては下痢にもつながります。
●さまざまな種類の水
昨今では、炭酸水、アルカリイオン水、水素水、還元電解水、天然ケイ素水など、からだに良いとされるさまざまな種類の水がありますが、その性質やからだへの影響については諸説あります。
●水の中の物質
水質汚染には多くの要因がありますが、人間にとって害をおよぼす代表的なものに大腸菌・コレラ菌があります。これらを除去・殺菌するために水道水には塩素が添加されますが、塩素は含む濃度によってたんぱく質に影響を及ぼす可能性があるため、髪がパサパサになる、肌荒れにつながるなどの心配があります。また下水処理時に塩素と反応した塩素化合物が人体や環境に悪影響を及ぼすという説もあります。そして農業廃水には、リンやチッソなどの化学物質が含まれる可能性、工業廃水には、カドミウム・六価クロム・シアン・総水銀・アルキル水銀・セレン・鉛・ヒ素・フッ素・ホウ素などの重金属が含まれる可能性があり、これらが海や川に排出されている場合があるため、残念ながら現代においては自然環境が良いと思われるところでも、川の水などを飲むのは避けた方がよいでしょう。その他にも放射能などの環境汚染、大気汚染物質が、水によからぬ影響を与えることもあります。