食生活と地球環境の関係

輸出入で成り立つ私達の食生活は、地球環境のこれからに直結しています。

●SDGsと食

SDGs(「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標)では、2030年を達成する期限とし17のゴールが設定されています。これらのゴールには「飢餓をゼロに」をはじめとして、食と関連している目標が多くあります。中でも下記の目標は特に食と密接に関わっています。

  • SDGsゴール2 飢餓をゼロに
  • SDGsゴール3 すべての人に健康と福祉を
  • SDGsゴール12 つくる責任つかう責任
  • SDGsゴール15 陸の豊かさも守ろう〜農産物に関連
  • SDGsゴール14 海の豊かさを守ろう〜水産物に関連

食糧生産は自然環境や生物多様性と大きく関わり、食糧輸送、食品ロスは二酸化炭素排出量と直結します。そして食品ロスが問題となる一方、世界では7億人が食糧不安に苦しみ健康を害する貧しい食生活を送っているとされ、状況の改善が望まれています。

●フード・マイレージ

私たちの食生活は世界中から輸入された多くの食品で成り立っています。日本の食料自給率は約4割(2019年度カロリーベース)で、約6割は輸入に頼っています。コメや野菜、魚介類の自給率は高いのですが、小麦や牛肉などの畜産物、油脂の自給率が低いのが現状です。食品は船や飛行機によって輸入され、輸送には二酸化炭素排出量が直結します。
食料の量と運ばれてくる距離を数量的に把握する指標として「フード・マイレージ」があり、食料輸入総量(t)×各国からの輸送距離(km)で算出されます。日本のフード・マイレージは、約9,000億t・km(トンキロメートル)で、国内のみの食料輸送量の約16倍となっています。外国との比較では、韓国、アメリカの約3倍、イギリス、ドイツの約5倍、フランスの約9倍とされ(農林水産省計算)、世界の中でも飛び抜けて、長距離かつ大量に食料が輸送されていることがわかります。また、輸送で発生する二酸化炭素量は約1,700万tと算出され、これを日本人1人当たりの排出量に換算すると年間約130kg。この数値は夏の間の冷房時間を1時間短縮した場合の二酸化炭素削減量の19年分にもなり、日本国内のみの食料輸送で発生する二酸化炭素量約900万tの2倍近くに及びます。フード・マイレージは現状を見つめる多くの分析方法のうちの一つではありますが、日本の食料輸入はその輸送によっても地球環境に大量の負荷を与えている現状をまずは認識したいものです。

参考:農林水産省HP、東京都消費生活相談センター「わたしは消費者 No.114 平成20年12月1日(食・農・環境の関わりと食育の大切さ)」、全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA:Japan Center for Climate Change Actions)HP、環境省HP「サステナブルで健康な食生活の提案(2021年8月30日)」

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