野生生物種と共に生きるために
これから私たちがやるべきことはなんでしょうか。
●野生生物種を守る必要性
なぜ野生生物種を守る必要があるのでしょうか。地球環境は密接に関わり合った様々な生物種の相互関係により成り立っています。この複雑な相互関係が野生生物種の大幅な減少により崩れることで、人類の存続そのものが危うくなることも心配されています。すべての生物種は生態系というシステムの中でそれぞれ重要な役割を担っていますが、人類はその仕組みをすべて理解しているわけではありませんし、現在の技術では一度絶滅した生物種を再生することはできません。
このような現状を改善する取り組みのひとつとして、1992年の地球サミットで158ヵ国が署名し、同年12月に世界の生物の保全を目的とした基本法的な条約「生物多様性条約」を発効しました。生態系、種、遺伝子の3つのレベルで生物の多様性を保全することを目的に、自然の生息地における保護地域設定などの取り組みを第一に位置付け、これを補完する措置として生息地以外での飼育繁殖、遺伝子保存などの取り組みを規定しています。また、生物の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生じた利益の適正配分、技術移転、途上国への資金援助なども規定しています。生物多様性条約には「生物多様性国家戦略」が含まれ、日本でも広く国民からも意見を聴取するなどして生物多様性国家戦略を1995年10月に決定しました。
●日本における現状
すでに絶滅してしまった野生動物は、ニホンカワウソ、ニホンオオカミ、エゾオオカミなどがあり、絶滅危惧種として、トキ、ツシマヤマネコ、シマフクロウなどが挙げられます。日本においては里山環境の変化、森林伐採、過去の乱獲などが野生動物減少の原因とされています。
●私たちにできること
一人一人ができることとして野生生物の乱獲を招くような象牙、毛皮、皮革、べっこう、サンゴ製品などを買わない。動物実験をしている薬品や化粧品の利用を控える。合成洗剤、殺虫剤などの化学汚染物質の利用を減らす。無農薬野菜などを利用する。自動車や航空機の利用を減らし酸雨の原因となる排気ガスを減らすなどがあります。節電や節ガス、過剰な消費を控える。海や川、湖などの自然を破壊しないようゴミは持ち帰るなども、野生動物減少の一助となるでしょう。
参考:環境省ウェブサイト「いのちはつながっている 生物多様性を考えよう」、WWF JAPANウェブサイト「地球温暖化による野生生物への影響」、山形大学環境保全センターウェブサイト「野生生物種の絶滅」、一般財団法人 環境イノベーション情報機構ウェブサイト「野生生物種の減少のメカニズム」