地球温暖化と水

地球温暖化の影響で気温が上がると空気中に含むことのできる水蒸気の量が増え湿度が高くなります。湿度が高くなると雨が降りやすくなり、大雨、洪水、高潮などが増える傾向にあります。また、近年は海水温度の上昇により、ハリケーン、サイクロン、台風などの熱帯低気圧が強大化する傾向も見られます。強大化した熱帯低気圧は暴風、高潮、高波、大雨をもたらし甚大な被害を引き起こすことが問題です。地球温暖化の影響で気温が上昇傾向にある現代ではこれらの自然災害が世界的な課題となっています。
一方、もともと水の少ない場所では地球温暖化による気温の上昇で水の蒸発が早くなり、そのうえ雨が降らないと干ばつとなります。干ばつとは数ヵ月から数年もの間水不足が続く状態で、農作物は枯れ家畜を飼うことはできなくなり人間は飢餓に直面します。また水不足で人々が汚れた水を飲用した結果、感染症などの病気にかかり健康を害し生命の危険にさらされます。

●氷、氷河への影響と海面上昇

地球上の水の約97.5%は海水で淡水(真水)は約2.5%ほどです。淡水の大部分は、南極、北極などに氷として存在し、陸地の約11%は氷や氷河に覆われています。このうちの多くの氷河が1901〜2000年の100年の間に縮小し、北極海に浮かぶ氷の面積は10年ごとに2.7%ずつ減少しているということです。その結果、ホッキョクグマなどの北極に生息する動物は住む場所を失うかもしれません。
海面の水位は、1901〜2000年の間で17cm上昇しているそうです。南極やグリーンランドの陸地にある氷が今より早いスピードで溶けると、海面の水位が5m上昇するという予測もあります。主な原因は、温度の上昇にともない物体の体積が増える「熱膨張」により、海水の体積が増えることと考えられています。南極やグリーンライドにある陸地にある氷が、溶け出していることも原因の一つとして挙げられています。
海面が上昇すると、海抜の低い土地は海に沈んでしまう可能性があり、イタリアのヴェネツィア、ツバルやモルデイブなど海抜が1〜2mほどの島国にとっては深刻な事態となります。また、海面上昇により地下水に海水が入り込むと地下水を汲み上げて飲み水として使用できなくなる、農作物を育てる灌漑用水に使えなくなる、建物の安定が脅かされるなどの影響も懸念されます。

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参考:厚生労働省「いま知りたい水道」、「知っておきたい水問題」一般財団法人九州大学出版会、「水と環境問題」文研出版

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