水の消費量と持続可能性

●水の消費量

一般家庭で一人の人間が飲料水以外で1日に使う水の消費量は、風呂80L、トイレ50L、洗濯35L、炊事40L、その他歯磨きなどに25L、合わせて230Lといわれています。家庭外でも学校や会社、飲食店や公園など、さまざまな場所で水を使用しますが、これらの水道水の使用量は1人1日約70Lといわれ、合わせると1人あたり1日約300Lの水が必要となります。水は生命の維持や文化的、衛生的な生活を送るうえで欠かせないものですが、今後人口減少が見込まれる日本では水道事業をどのように維持していくかが喫緊の課題となっています。

●仮想水という概念

日本はトウモロコシや大豆、小麦を主にアメリカから輸入していて、これが全輸入作物の大半を占めています。トウモロコシや小麦を1kg生産するために使う水は約2000L。作物重量の2000倍の水を必要とします。大麦では2600倍、米では3600倍の水が必要です。畜産物ではさらに大量の水が必要で、鶏肉1kgでは4500L、牛肉では2万600Lもの水が必要です。畜産物で水の消費が大量になるのは飼料を栽培する際の水量も加算されるからです。食料の輸入に伴いその食料を飼育・栽培するために消費した水も実際は輸入しているとみなすこともでき、この水を仮想水と呼びます。日本の仮想水の総輸入量は年間640億m3に達し日本国内の年間灌漑用使用量の570億m3を上回っています。日本は水資源に恵まれた環境ではあるものの平地が少なく国内で十分な農地が確保できないために、仮想的に海外の灌漑用水を輸入しているという見方もあります。

●水、食料、エネルギー

現在日本では食料自給率(カロリーベース)を令和4年度の38%から令和12年度までに45%へ引き上げることを目指しています。平地が少なくエネルギー資源に乏しい日本では食糧の自給自足には制約があり、一人一人が食料の選択を考えることが求められています。食料の自給率を上げると同時に、水、食料、エネルギーの持続可能な供給のためには、国家や地域などの境界を超えた地球規模での協力関係が必要で、発展途上にある国や地域の社会基盤整備をより積極的にサポートすることが重要です。持続可能で健全な環境を次世代に継承していくために、私たち一人一人が水、食料、エネルギーのあり方を地球規模で捉え、意識して行動したいものです。

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参考:「知っておきたい水問題」一般財団法人九州大学出版会、「水と環境問題」文研出版、農林水産省ウェブサイト「日本の食料自給率」

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