長寿郷のライフスタイル
100歳を超えてもいきいきと暮らす人の多い「長寿郷」のライフスタイルには、参考にできることも多くありそうです。
●世界の長寿郷に共通する要素
100歳以上でいきいきと現役で暮らす人が多い長寿郷のライフスタイルは興味を引くものがあります。ある調査※1で長寿郷として注目された地域は、コーカサス(旧ソ連)、フンザ(パキスタン)、「ビルカバンバ」(南米エクアドル)、「新疆ウイグル」(中国北西部)、「巴馬(パーマ)」(中国広西)です。これらの地域で長寿者のライフスタイルで共通する点は、粗食、少食、野菜食、笑いと感謝、生涯現役で農作業など。また他の調査※2ではサルデーニャ島(イタリア)、チマネ族(南米ボリビア)が注目されています。この2つ地域でのライフスタイルで共通するのは、生涯を通して比較的厳しい肉体労働を続けていること。チマネ族は狩猟採取生活であるため日々狩や採取に出かけ、サルデーニャでは標高の高いエリアで羊飼いやオリーブの栽培を行います。そして重労働の後は仲間や家族と談笑しながらリラックスして休息し、十分な体力の回復の時間をとり、高齢になっても労働と休憩の繰り返しを日々行なっていることが確認されています。またサルデーニャ島の新鮮な野菜や魚介、オリーブオイル中心の地中海式食事はアンチエイジングに多くを期待できることが、広く認められています。
●ヒポクラテスの教訓との共通点
医聖と呼ばれる古代ギリシャの医師ヒポクラテスは「人は自然から遠ざかるほどに、病気に近づく」「満腹が原因の病気は空腹によって治る」「病気は食事と、運動により治療できる」などの教訓を残していますが、「人間がありのままの自然体で自然の中で生活をすれば、120歳まで生きられる」との言葉も残しています。近年日本で100歳以上の方が増えているのは、ヒポクラテスからすると意外なことではないかもしれません。
●健康寿命を伸ばすために
自立して生活できる健康寿命を伸ばすためには、食生活への配慮、適度な運動と休息、加齢へのポジティブな気持ち、家族や友人とのつながりがポイントになるようです。食生活では色々な説がありますが、長寿郷の観察からは穀物や野菜を中心とし、満腹ではなく腹6分目くらいを目安にするとよいということです。適度な運動は多くの研究でその重要性が確認済みですから、日常の中に習慣として取り入れていきたいものです。年齢を重ねていくことは、さらに自分をバージョンアップしていくことと前向きな気持ちを意識すると違うかもしれません。長寿郷では家族やコミュニティとの明るく笑い溢れる会話が共通して見られるようで、笑いは楽しい気持ちと共に長寿ももたらしてくれるようです。長寿郷から健康寿命を伸ばしていくための色々なヒントをもらえそうです。
※1:「健康寿命120歳説」株式会社三五館P6
※2:「不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる」株式会社かんき出版P2
参考:「健康寿命120歳説」株式会社三五館、「不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる」株式会社かんき出版、「LIFE SPAN 老いなき世界」株式会社東洋経済新報社、別冊ニュートン「老いの取扱説明書」株式会社ニュートンプレス