老化の捉え方

年齢を重ねる老化を肯定的に捉える大切さとは。

●エイジズムからの脱却

私たちは意識しないうちに「年をとると、足腰が弱くなる」「年をとると、物覚えが悪くなる」「高齢者は弱者」などという印象をもっていることがあります。このような老化に対するネガティブな印象を「エイジズム」と呼ぶことがあり、周囲の人が高齢者を弱者や過剰に保護すべき対象として捉える、また高齢者自身が「私はもう年だから…」とさまざまなことに対して消極的になり、自分の存在を過小評価することにつながってしまう可能性がある考え方です。
年齢を重ねられること自体は素晴らしいことで、また経験を積んだ高齢者だからこそ知っていること、できることも多くあります。そういったポジティブな側面を優先して、高齢についてのネガティブな考え方は取り払いたいものです。人間は誕生して死亡するまでさまざまな体験をし成長していきます。高齢なほど人間として成長しているとも捉えられます。イェール大学が行った調査※1では、老化に対する考え方がポジティブな人ほど認知症になるリスクが低いという結果が報告されています。また他の調査でも加齢にポジティブな高齢者は、そうでないグループより7.5年長生きだったという報告もあり、自分自身がまずエイジズムから脱却し、加齢に対してポジティブになることが寿命を伸ばすことにつながっていくかもしれません。

●老化という状態の捉え方

2010年ロンドン王立協会により、老化は避けて通れないものではなくそれ自体が一つの疾患であるという主旨の発表※2がされています。年齢を重ねるから老化するのではなく老化という病気によって老化するという考え方で、高齢だから病気になってしまうのではなく、からだが老化という病気になっているから病気になりやすくなるという考え方を示したものです。老化という病気を防ぎ対処していくことにより、寿命は飛躍的に伸びるという仮説も示されました。このような考え方はまだ聞くに新しいものですが、科学的な見地から老化の捉え方の一つの方向性が示されてといえます。

●主観年齢が若いほど長生き

主観年齢とは、実際の年齢とは別に「自分のことを何歳ぐらいに感じるか」という感覚で、未成年は実際の年齢より主観年齢が高いのに対し、高齢者は実年齢より主観年齢が低い(=若く感じている)という調査報告があります。40代では、4〜5歳、60〜70代では6〜7歳ほどの差があったということです。アメリカで行われた同様の調査では70代の女性は平均して28歳も若いと答えたという結果もあり、興味深いところです。主観年齢が低い人の方が記憶力が良く長生きという報告※3もあるそうです。主観年齢は周りではなく自分が自分にもつイメージです。思い切って若々しいイメージを自分にもつことは色々なプラスに繋がっていきそうです。

※1:「不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる」株式会社かんき出版 P263
※2:「LIFE SPAN 老いなき世界」株式会社東洋経済新報社P138
※3:別冊ニュートン「老いの取り扱い説明書」株式会社ニュートンプレスP80

参考:「健康寿命120歳説」株式会社三五館、「不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる」株式会社かんき出版、「LIFE SPAN 老いなき世界」株式会社東洋経済新報社、別冊ニュートン「老いの取扱説明書」株式会社ニュートンプレス

SHARE