虫歯と虫歯の予防

虫歯とは、口の中の細菌が食べ物や飲み物に含まれる糖分を餌にして酸を作り、それによって歯が溶けた状態のことです。最初はあまり痛みを感じませんが、進行すると痛みが強くなり、全身に菌が回ってしまう危険もあります。

●虫歯のでき方

虫歯の原因菌としてよく知られているのが、口の中に存在するミュータンス菌。食べ物や飲み物に含まれる糖分を餌として増殖し、グルカンというネバネバとした物質を作り出します。これが歯に付着し、細菌の集合体として白い汚れとなったものがプラークです。ミュータンス菌は乳酸も作り出すため、プラークの中が酸性になり、これが歯の表面のエナメル質を溶かしている状態を脱灰と呼びます。この状態が続いて、歯に穴が開いてしまった状態が虫歯です。穴が開く前の初期の虫歯では、歯の表面のアパタイト結晶が崩れたような状態になっており、歯を削らなくてもミネラルを取り込んで元の状態に修復することが可能です。これを再石灰化といいます。
初期の虫歯にはあまり痛みがないのでそのまま放置すると、進行して歯の内部の象牙質までむしばまれていきます。さらに進行すると、歯髄という歯の神経や血管にまで細菌が侵入し、強い痛みや炎症が起こります。

●虫歯を防ぐには

虫歯予防で大切なのは、虫歯菌を減らしてその活動を抑えること。そして、歯を丈夫にすることです。

・歯みがきの基本
歯みがきの主な目的は、歯の表面についたプラークを除去すること。付着力がとても強いので、歯ブラシでていねいにこすり落とします。もっとも効果的にプラークを除去できるのが、スクラビング法です。歯ブラシは歯の表面の根元に対して直角に。歯肉にもブラシが当たるようにしながら、横に5ミリ程度の幅で小刻みに動かします。1度に1~3本の歯をみがく感覚で、奥歯から前歯、歯の裏までていねいにみがきましょう。
歯と歯の間のプラークを取り除くために効果的なのが、デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシです。歯科医などに相談して歯や口内の状態に合ったタイプを選び、お手入れ方法を教わることをおすすめします。

・歯みがきのタイミング
ほとんどの食べ物には虫歯菌の餌になる糖分が含まれているため、食事をするとプラーク中の細菌が酸を作り始めます。食べたらすぐに歯みがきをすることが理想ですが、基本的には朝食後、昼食後かおやつの後、就寝前に行いましょう。特に睡眠中は唾液の分泌が減って細菌が活動しやすくなるので、寝る前には必ず歯みがきをすることが大切です。

・歯みがき剤の使い方
歯みがき剤を使うと効率的に汚れが除去できる上、フッ化物が配合されているので、酸に溶けにくい歯にする効果も得られます。歯みがき後は軽く1回うがいをするだけにして、歯の強化や再石灰化に役立つ成分を長くとどまらせましょう。

・食事の習慣
食事の時によく噛むと唾液が多く分泌され、口の中の汚れを洗い流す効果があります。また、食べ物をかみくだくときにも歯の表面の汚れが取り除かれるので、噛みごたえのあるかたいものを食べることも大切です。やわらかいものばかりを食べ続けると噛む習慣が身につかず、歯についたままのプラークから細菌が増殖しやすくなるのです。
おやつをだらだらと食べ続ける習慣は、虫歯菌が酸を作り続ける原因になります。時間を決めて規則正しく間食を楽しむことが大切です。ジュースに含まれる糖分にも注意が必要です。ガムを噛むと唾液が多く分泌されるので、虫歯予防に効果があります。ただし、虫歯菌の餌になる砂糖を含まないものがおすすめ。甘み成分としてキシリトールを使ったもの、歯の成分になるリン酸やカルシウムが入っているガムは、歯の再石灰化に役立つといわれます。


 

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