光老化と肌老化
光老化がシワなどの最大の原因とされています。
●紫外線A波とB波
地上に届く紫外線にはA波とB波があり、それぞれUVA、UVBと呼ばれ、UVAが全紫外線量のおよそ97%、UVBが残りの3%を占めるとされます。UVBは全紫外線量に占める割合は少ないのですが、皮膚に日焼け(サンバーン)と色素沈着(サンタン)を引き起こし、さらには皮膚細胞内の遺伝子DNAを傷つけることが報告されています。また、からだの免疫機構にも影響するとされ、有害紫外線とも呼ばれています。地上25kmほどの高さにあるオゾン層には地表に届くUVBの量を調整する働きがあります。オゾン層の破壊が進んでいることにより近年地上に届く紫外線B波は増加傾向にあり、世界的にオゾン層を守ることが注目されています。
紫外線A波を長年にわたって浴び続けることで肌奥に活性酸素が発生し、真皮のコラーゲン、エラスチンといった繊維が破壊され、シワやタルミに関係することが分かっています。このように紫外線A波B波共に、短期的・長期的に肌に大きな影響を与えるとされます。
●肌老化
紫外線は目に見えず、数十分浴び続けても目に見える変化は起きませんが、皮膚を構成する細胞の遺伝子の構造やその働き、一部細胞の機能には影響を及ぼしています。紫外線の肌への影響は、主に以下となります。
- ①表皮全体が厚くなる
- ②色素細胞のメラニン量の増加
- ③肌のキメが荒くなる
- ④コラーゲン、エラスチンの質の変化
- ⑤コラーゲン量の低下
- ⑥真皮内のヒアルロン酸などのムコ多糖類の変化
②は肝斑、炎症後色素沈着、日光性色素斑といったシミ各種と関係し、④⑤は紫外線B波に真夏に10分間あたることにより、コラーゲンやエラスチンを分解する酵素が活発に作られること、活性酸素によりエラスチンが固くなることが報告されています。40代以降は新たにつくられるコラーゲン、エラスチンの量が減るので、これらが破壊されて質が変わるとシワやたるみとなって現れてきます。上記に加えて皮膚がんの心配もあります。しかしこれらの光老化は紫外線に当たらなければ未然に防ぐことができるとされます。
●日光性色素斑(老人性色素班)と光線性花弁状色素斑
気になるシミにはいろいろな種類がありますが、日光を原因とした代表的なものに日光性色素斑と光線性花弁状色素斑が挙げられます。
日光性色素斑は、顔、手首、前腕の外側、肩、背中の上部などの日光がよく当たるところに出ます。日光性色素斑は小さな褐色斑で加齢とともに増加します。18歳〜20歳頃までは強い日焼けをしても日光性色素班は生じませんが、体質によってごく幼いときからで始める場合もあるようです。20年〜30年間にわたる長期間のサンバーン(日焼け)の繰り返しにより一部の色素細胞で遺伝子の異常ができ、メラニン色素が活発化してシミになると考えられています。光線性花弁状色素斑は、ビーチなどで終日全身に日光を浴び、強いサンバーン、サンタンが生じ、皮膚がボロボロ脱落し始めた頃に肩や背中の上部に花弁状の不整形の色素斑が目立ってきます。色白のタイプの方に多いようです。シミになりその後痕が残ることもあるようです。
このように、紫外線は浴びてすぐにシミになる場合もありますが、長年の蓄積で後年シミとなって現れ出てくることも少なくありません。
参考:「皮膚の光老化とサンケアの科学」有限会社フレグランスジャーナル社