抜歯の原因


抜歯の二大原因はむし歯と歯周病です。一般的に歯は奥歯から失われる傾向があり、その原因は比較的若いうちはむし歯が多いようですが、残った歯が少なくなるにつれ歯周病が多くなります。失われやすい歯は治療していないむし歯、かぶせた冠がある歯、部分義歯の針金がかかる歯、歯周病が進行している歯などです。

●むし歯が原因の抜歯

むし歯は歯そのものの病気です。歯の表面のプラーク(歯垢)に存在する細菌は飲食物の中の糖分を摂取・分解して酸を出します。この酸により歯は溶かされますが、唾液が酸を中性に近づけ、また唾液のカルシウムやリンが歯の修復を助けています。しかし、糖分の摂取が頻繁だとこの唾液による修復が間に合わずにむし歯になります。
むし歯は「う蝕」と呼ばれ、大人のむし歯の特徴は「2次う蝕」と「根面(こんめん)う蝕」です。治療したむし歯のつめ物やかぶせた冠のすき間から再びむし歯になるのが「2次う蝕」です。つめ物やかぶせた冠と歯の間はプラークがつきやすく、むし歯が再発しやすいとのことです。一方、加齢により歯肉が下がって露出してしまった歯根の、エナメル質に比べて弱く柔らかいセメント質の部分にできるむし歯が「根面う蝕」です。
残念ながらむし歯は自然に回復することはありません。むし歯の状況によって治療の方法は異なりますが、進行すると歯の根元にまで細菌が達して抜歯となることがあります。

●歯周病が原因の抜歯

歯周病とは歯を支える歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊されていく病気です。歯が骨から抜け落ちないように、歯の根の表面にあるセメント質と歯槽骨との間を歯根膜(線維)が繋げ支えています。歯周病はこれら歯の周辺組織が壊され、最後には歯が抜け落ちてしまう病気です。生活習慣が大きく関係することから生活習慣病のひとつに数えられ、初期も含めると40歳以上の日本人の約8割が歯周病に罹っているとされます。歯周病は治療をしても歯のグラグラが残りしっかりと噛むことができず、自然に歯が抜け落ちてしまうこともあります。グラグラする歯では歯と歯ぐきの境目の歯周ポケットに細菌が溜まりやすく、溜まった細菌が血液に入り全身に悪影響を与える危険性も考えられるため、全身の健康を鑑みて歯科医の判断で抜歯に至ることがあります。

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参考:e-ヘルスネット「歯の喪失の実態」「歯の喪失の原因」、日本歯科医師会ウェブサイト「歯周病」、特定非営利活動法人 日本歯周病学会ウェブサイト

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