健やかな脳活動のために
若々しい認知機能は、ライフスタイルから。認知機能の衰えるスピードを少しでも遅くするには、脳をよい状態に保つことが大切です。それには血管の状態がよいこと、血流の状態がよいこと、そして脳でのエネルギー産生と老廃物の排出が関係するのです。
●睡眠
ATP(アデノシン3リン酸)は生命活動を維持するエネルギー源となる物質で、ATPが十分につくられていることが若々しいからだには必要ですが、加齢とともにATPの産生は徐々に減り、80歳では40歳のときの6割程度しか産生されないといわれます。このエネルギー不足により脳の活動が衰え、脳での老廃物の排出のスピードも鈍るとされます。
ATPの産生と老廃物の排出のためには、まず質のよい睡眠が必要です。ぐっすりと質のよい睡眠をとることにより、脳での老廃物の算出が促されるといわれます。
●食生活
日々の食生活も大切です。脳の細胞に栄養素を運び、老廃物を回収するのは、体中の他の細胞同様、血液です。脳細胞へ滞りなく必要な物質を届け回収するためには、血流がよいことが大切です。血液循環が悪くなる理由には、運動不足だけでなく食生活や食事バランスがあります。血液や血管を健康な状態に保つことも重要です。食べ過ぎや、糖質、脂質の多い食事は血管を痛め、生活習慣病のリスクを上げます。生活習慣病が脳血管疾患などを招き、脳の機能の低下、認知症の原因になることは少なくありません。
また、脳のエネルギー源となる糖質は大切な栄養素ではありますが、砂糖などの単糖類の摂り過ぎや、菓子類など甘いものを常に口にする習慣があると、自律神経を乱し、集中力の低下や気分の乱高下を招きます。バランスのよい食事内容と適度な食事量、そしてある程度のリズムある食生活は、精神的な安定にもつながり、気持ちよくからだを動かすことや頭を使うことと関係します。
脳によいと注目されている青魚のEPAは血流の改善に、DHAは脳の活性化につながるといわれています。肉食、白身や赤身の魚に偏ることなく、青背の魚も上手にとり入れるとよいでしょう。また、ATP産生にはビタミン、ミネラルが必要で、抗酸化作用のあるファイトニュートリエントは血液の健康によい働きをします。このように日々の食卓をバランスのとれた内容にすることは、長い目で見て脳の健康に欠かせないこととなります。
●新しいチャレンジ
脳の活性化には、脳に刺激を与えることも大事です。常に新しいことにチャレンジしていることは、脳の衰えを遠ざけます。家事の中でも新しいレシピに挑戦する、新しい掃除の仕方をしてみる、家庭菜園をはじめてみるなど、身近なことからはじめてもよいでしょう。趣味の教室に通ってみたりボランティアなどのグループ活動をはじめることは、最初は勇気がいりますが、交友関係を広めて人々と話すことは、脳の活性化に直結します。また、手紙を書く、日記をつけることは、頭の中で考えを整理することで、脳が活性化されます。
運動、睡眠、食事、新しいことへのチャレンジで、脳を活性化させ、ハツラツとした毎日を送っていきましょう。