難聴の種類
「騒音性難聴」の中でも近年増加しているイヤホン難聴とヘッドホン難聴。騒音で難聴になるリスクを正しく理解しておきましょう。
●難聴の種類
難聴が起こる原因は大きく3つに分けられるようです。一つ目は内耳の蝸牛内にある有毛細胞の障害により生じる「感音性難聴」です。音を電気信号に変え脳に伝える働きをする有毛細胞が原因となります。二つ目は外耳、中耳、内耳の仕組みに障害が起きる「伝音性難聴」、三つ目は言葉が聞き取りにくく理解できないことでおこる「聴覚情報処理障害」です。
「感音性難聴」にはいくつもの種類があり、イヤホンの使用、ヘアドライヤーや掃除機、剣道、射撃、パチンコなどの騒音に、耳が長年に渡りさらされたことが原因となる「騒音性難聴」、ロックコンサートなどの会場で強大な音を聞くことで起こる「ロック難聴(急性音響外傷)」、ある日突然片耳の聞こえが悪くなる、または聞こえなくなる「突発性難聴」、めまいなどを伴う「メニエール病」、高血圧や高血糖と関係する「生活習慣病性難聴」などが挙げられます。以前は騒音がある職場で働く人に難聴がよく起きる問題がありましたが、労働安全衛生法に基づく騒音障害防止策により、仕事が原因で起こる難聴は著しく減っているようです。
●増えるイヤホン難聴
「騒音性難聴」の中でもイヤホン難聴、ヘッドホン難聴は最近急増しているようです。イヤホンやヘッドホンは耳の中に直接音が入るため、周囲に音漏れするほどの大きな音で聞いていたり長時間聞き続けたりすると難聴が起こりやすいとのことです。イヤホン、ヘッドホンの普及により長時間大きな音を聴き続ける習慣が、特に若者の間に増えていて、WHO(世界保健機関)では11億人もの世界の若者たち(12~35歳)が、携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンなどによる難聴のリスクにさらされているとして警鐘を鳴らしています。
●音圧レベルの許容基準
騒音で難聴になるリスクは「音の大きさ×さらされた時間(期間)」で決まります。WHOでは、1日あたりの音圧レベルの許容基準を設けています。その基準によると、1週間に聞いてもよい音圧と時間は、80dB(デシベル)×40時間が目安とされていて、それ以上の大きな音に長い時間さらされると耳鳴りが始まり、それが慢性化するうちに難聴へ進む危険があるとしています。イヤホンやヘッドホンを利用する場合は耳の中に直接音が入るため、音量に対して許容される基準時間が短く設定されています。
参考:「「聞こえにくい」がなおる耳トレ」株式会社大和書房、「耳鳴り・難聴 耳鼻咽喉科の名医が教える最高の治し方大全」株式会社文響社、「難聴・耳鳴り・めまいを改善!耳は「首押し」で9割ラクになる!」株式会社河出書房新社、環境省ウェブサイト「水・大気環境局大気生活環境室「よくわかる低周波音」」、厚生労働省e-ヘルスネット「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について」、全国健康保険協会ウェブサイト「心がけよう耳の健康と衛生チェック」