聞こえの仕組み


音はどうして論理と感情の合わさった「意味のある言葉の情報」として認識されるのでしょうか。

●耳と脳の連携

私たちは空気の振動を耳から集め、脳へと伝えて「音」として認識します。耳は空気の振動である音を集めて調整し、電気信号に変換して脳へ伝えます。脳はこの電気信号から音源や音の意味を理解します。耳と脳が連携することで「聞こえ」が可能となります。音は耳の外耳から入り鼓膜を経て中耳に至ります。中耳にはツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つの耳小骨が連なっていて、奥へいくほど小さくなっています。一番奥のアブミ骨にはアブミ骨筋という筋肉があり、過大な音を感知すると収縮し、鼓膜を抑え込んで音の振動を小さくします。そして、音は内耳の蝸牛(かぎゅう)と呼ばれるカタツムリのような形をした渦巻き管へと達します。蝸牛の中はリンパ液で満たされていて、内壁にある約2万個の有毛細胞がリンパ液の中で揺れ動くことにより音の振動が電気信号に変換され、脳の玄関口と呼ばれる視床に届きます。
視床を通過すると音を意味ある言葉として論理的にとらえようとする「言語系ルート」と、好き・嫌い、快・不快など、直感的・本能的にとらえようとする「感情的ルート」に分かれて処理され、最終的に「言語系」と「感情系」の2つの情報を合わせて、論理と感情の合わさった「意味のある言葉の情報」として認識されます。

●音の単位と表現

音を表す単位でよく使われるものに、音の強さ・大きさ(音圧)を示すデシベル(dB)があります。人間の囁き(ささやき)声は約20デシベルで、電車内の音は80デシベルほどです。また、音の高さ・低さを表す単位のヘルツ(Hz)があります。音の高さ・低さは空気が振動する速さで決まり、1秒間に空気が振動する回数(周波数)が多いほど音が高いと感じ、少ないほど低いと感じます。人間が聞き取ることができるのは20〜2万ヘルツといわれ、一般的に女性の話し声は1000ヘルツほどです。人間が聞き取ることのできない20ヘルツ以下、2万ヘルツ以上の音は超音波と呼ばれ、イルカやコウモリは聞き取ることができるといわれています。また、人間が聞き取ることのできない20ヘルツ未満の低い音は、皮膚では感じることができるとされています。
また、音は大きさ(ラウドネス)、高さ(ピッチ)、音色(トーン)、抑揚(イントネーション)などで表現されますが、同じように表現されている音でも人により聞こえ方や感じ方は違い、音への快・不快は全く同じとはいえません。

参考:「「聞こえにくい」がなおる耳トレ」株式会社大和書房、「耳鳴り・難聴 耳鼻咽喉科の名医が教える最高の治し方大全」株式会社文響社、「難聴・耳鳴り・めまいを改善!耳は「首押し」で9割ラクになる!」株式会社河出書房新社、環境省ウェブサイト「水・大気環境局大気生活環境室「よくわかる低周波音」」、厚生労働省e-ヘルスネット「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について」、全国健康保険協会ウェブサイト「心がけよう耳の健康と衛生チェック」

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