唇のトラブル

唇の乾燥や荒れがひどくなると、炎症や亀裂などのトラブルを引き起こすことがあります。唇の端の部分である口角に炎症が起こり赤く腫れたり、皮がむける、かさぶたになるといった「口角炎」、唇が全体的に乾燥して皮がむける、腫れる、かゆみや湿疹を引き起こす「口唇炎」などが挙げられます。このようなトラブルにはさまざまな原因があるようです。

●乾燥

唇は角層が非常に薄い構造のため乾燥しやすく、話す、表情をつくる、飲食をするといった動きが多いことがさらに乾燥を進めるようです。特に冬季は乾燥によるトラブルが起きやすくなります。乾燥が進むとカサカサし、硬くなったり、皮が剥けることがあります。また、マスクの着用においては、マスクの生地によっては唇のうるおいを奪うこともあります。さらにマスク内は蒸れることによって唇のうるおいが奪われて乾燥しやすくなります。

●日光

唇にはメラニン色素がないため紫外線に対する防御力が弱く、紫外線による炎症も起きやすいようです。日光は皮膚の水分を奪いもともと乾燥している部分をさらに乾燥させます。日焼けによる炎症が原因で唇の皮が剥けることもあります。

●物理的な刺激

刺激がある飲食物、タバコ、口紅やリップクリーム、歯磨き粉など唇に触れる刺激、マスク、矯正器具なども唇のトラブルの原因になります。まずは刺激の原因を取り除くことが重要です。金属製の装置やインプラントの複合材は、唇の皮が慢性的に剥ける要因になることも多いようです。唇が荒れる原因がはっきりしない、保湿ケアをしていても悪化する場合は、皮膚科を受診したほうがよいでしょう。
唇を舐めるのも刺激になります。唾液は唇の構成要素である脂質、タンパク質、糖質を分解する酵素から成り立っています。また、唾液の水分が蒸発する際に唇のうるおいも奪い乾燥しやすくなります。

●体調不良・栄養不足

風邪や胃腸疾患といった体の不調が唇のトラブルを引き起こすことがあります。また、ビタミンB群が不足すると唇が乾いたり、割れたり、ヒリヒリしたり、赤くなったりします。口周辺の湿疹も同時に起きることが多いようです。細胞の成長、治癒、ターンオーバーを促すビタミンB12が不足すると、唇が乾燥して治癒が遅れることがあるようです。

●感染症

体内に潜んでいたヘルペスウィルスがストレスなどをきっかけに活性化し、水疱や腫れを引き起こすことを「口唇ヘルペス」といい、唇のまわりに水膨れができる、ピリピリとした違和感がある、いつも同じ部位が荒れるなどの症状がある場合は、ヘルペスウィルスによるトラブルの可能性が高いようです。口唇ヘルペスが疑われる場合は放置せずに早めに皮膚科を受診することが大切です。

参考:「肌トラブル大全」株式会社WAVE出版、「新しい皮膚の教科書」株式会社池田書店、日本化粧品技術者会ウェブサイト記事「唇」、ハースト婦人画報社Women’s Healthウェブサイト「唇が荒れる10の理由と、それをいますぐ治す方法とは?」、日比谷ヒフ科クリニックウェブサイト

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