補酵素(コエンザイム)

酵素の中には、自分だけでは働けず、酵素の働きをサポートする補酵素のサポートを必要とするものがあります。酵素はエンザイムと呼ばれ、補酵素はコエンザイムと呼ばれます。

●ビタミンの補酵素としての働き

ビタミンはからだの調子を整える微量栄養素で人体に不可欠で13種類あります。必要量は少量でも代謝における役割は重要です。例えばビタミンB群は私たちにとって大切な三大栄養素の代謝に補酵素として重要な働きをします。ビタミンB1は糖質代謝の補酵素、ビタミンB2はエネルギー消費や脂質の代謝、ビタミンB6はアミノ酸の代謝に必要な補酵素、ナイアシンはからだの中での酸化還元という代謝に必要な補酵素です。酵素は、体内でつくりだすことができますが、補酵素の働きをするビタミンは体内でつくりだすことができないため、食物などから不足しないように摂取することが必要です。

●ミネラル

働くのにミネラルの助けが必要な酵素は、金属酵素と呼ばれます。多くの酵素はミネラルに助けられて働いています。DNAの合成のように生命そのものの存在をサポートする亜鉛のようなミネラルもあり、その存在は私たちの生命維持、子孫存続に欠かせません。ビタミンと同様これらミネラルは体内で合成することができないものがほとんどのため、食品から摂取する必要があります。

●食生活での酵素、補酵素

伝統的に酵素の働きを利用している料理や食べ方があります。例えば餅に大根おろしを添える、蕎麦や麦飯にととろ芋を合わせるなどです。大根や山芋はデンプンやたんぱく質、脂質を分解する酵素を含み消化を助けます。パイナップルをハンバーグや酢豚に合わせるのもパイナップルに含まれるたんぱく質分解酵素が消化に活かされます。このように消化の段階で酵素の力が活かされるだけでなく、細胞レベルで生命を維持する重要な酵素もあります。酵素が不足すると、疾病やさまざまな健康リスクにつながります。原始生活ではこれら酵素を獲ってすぐの新鮮な肉や魚、生の果物や野菜から自然と摂取していました。しかし現代の食生活では加工食品が多くなり酵素の摂取量が減りがちです。酵素は熱、強い酸やアルカリで失活してしまいます。加工に加工を重ねた食品は便利な一方、食品中の酵素は失われている場合が多くなります。酵素の摂取には新鮮な食材を家庭で調理することが望ましいのです。また納豆やヨーグルトといった発酵食品を意識して食生活に取り入れ、酵素、補酵素の日常的な摂取を心がけましょう。酵素は生きているものに存在し効力を発揮します。効率や利便性が高い現代の食では酵素が失しなわれている場合も多く、酵素の摂取という点から自らの食生活を見直してみましょう。

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