ツボ押し

ツボ押しは漢方薬や鍼灸などと同じように東洋医学で用いられる治療法の一つです。東洋医学では生きるための三つの要素である『気(き)』『血液の血(けつ)』『体液の水(すい)』の巡りを整えることが重要とされています。

●経路(けいらく)と経穴(けいけつ)

三つの要素の中の気・血の通り道を『経絡(けいらく)』といい、14本ほどが全身に張り巡らされていて、その経絡の体表面に『経穴(けいけつ)』と呼ばれるツボが約400ヵ所以上にあるといわれます(経絡の本数、ツボの数については諸説あります)。
経絡とツボは、からだ表面と臓腑を互いに繋いでいて、ツボを押すとその刺激が経絡に伝わり、気や血の流れがよくなるとされています。気や血の流れは経絡を通じてその先にある臓腑に伝わります。

●経脈(けいみゃく)と絡脈(らくみゃく)

経路はからだを縦に通る太い『経脈(けいみゃく)』と、さらにそこから枝分かれして網目状に全身をめぐる『絡脈(らくみゃく)』で構成され、主要な12の絡脈は『正経十二経脈』とよばれます。正経十二経脈はからだを一周するようにして主要な臓器とつながり、手先か足先を必ず通っていますので、手先か足先のツボを刺激することが、主要な臓器の気と血の循環を促し整えるとされています。

●ツボ押しの効果

ツボ押しは主に自律神経に働きかけるとされています。自律神経とは自分の意識とは関係なく働く神経で、内臓や血管などの働きを制御し体内を整えます。心臓の鼓動や呼吸、血液の循環、食物の消化、体温調整、新陳代謝など生命活動は自律神経の働きによるものです。また、ツボ押しは脳内の自律神経を司る『視床下部』も刺激するため、メンタルの状態にも関与するとも考えられていて、正しい部分を正しく押すこと=ツボ押しは心身を共に整えることができるものとされています。
気や血の流れがよくなり臓腑の機能が活性化すると、自然にからだが本来の姿へと修復されていくという考え方、ツボを刺激し経路を整えることの健康への影響は、昨今では西洋医学でも認められ、WHO(世界保健機関)が統一基準をまとめるなど、東洋医学、西洋医学の両方の観点からツボの効果が研究されています。

関連記事:免疫力と生活習慣

参考:「ビジュアル版 東洋医学 経路・ツボの教科書」株式会社新星出版社、「自分で押せてすぐに効く! 手ツボ・足ツボ」株式会社池田書店、「ひと目でわかる ホントによく効くリンパとツボ」株式会社日本文芸社、厚生労働省「こころの耳」ウェブサイト

SHARE