視力の老化

●誰にでも起こる老眼

老眼は加齢により水晶体と毛様体筋による眼のピント調整能力が落ち、ものが見えづらくなる状態です。近くのものがぼやけて焦点が合いにくいと感じるようになり、手元にある文字などが見えづらくなります。
目はからだの中でもっとも早く老化現象が現れる器官といわれますが、老眼になる時期には個人差があり、早い人では30代半ばから見えにくいと感じ始めることがある一方で、高齢者になってもピント調整能力がキープされ見えにくさを感じない方もいます。また、近視の人はピント調整能力の低下に気づきにくく遠視の人は早く気づく傾向があり、近視の人は老眼になりにくく遠視の人はなりやすいといわれるようですが、近視・遠視にかかわらず誰にでも起こる老化現象です。

●視力の種類

一般に視力というと視力表(ランドルト環)を使って測定する『静止視力』が思い出されますが、他にもいくつかの視力があります。『動体視力』は動くものを見分ける視力で、スポーツ選手はこの能力に長けているといわれます(動体視力は静止視力と比例するものではありません)。『瞬間視力』は短時間・瞬間的にものを見極めすぐに覚えることのできる視力です。視覚にはいった数字や文字、人の顔などをほんの一瞬で正確に記憶でき、仕事や作業の能率に関係します。『周辺視野能力』は目を動かさずにものを見ることができる視力で、両目の視野は200度の範囲とされています。
動体視力、瞬間視力、周辺視野能力も加齢により低下します。満70歳以上の高齢者が運転免許を更新する際には高齢者講習を受けることが義務づけられ、その中に動体視力の検査も含まれます。また、歩行中の高齢者が交通事故に遭うことが多いのは周辺視野能力の低下が関係しています。これらの視力はいずれもトレーニングによって維持・回復することが可能であることが報告されています。

●脳との連携

目から入ってきた画像情報は、電気信号として大脳の視覚野に伝えられて認識されます。『見る』という行為は目と脳の連携です。大人は見た画像情報を自分の脳の記憶に照らし合わせて何かを判断します。文字や記号を見て意味を理解するのはこのプロセスによるものです。同じものを見ても知識がない子供にはそれが何か理解できません。
目から送られてきた情報の捉え方は脳の情報処理機能によって変わります。目から入ってきた情報が多少ぼんやりしていても、脳の処理機能が高ければ見たものの情報をはっきりと捉えられるという考えに基づき『ガポール・アイ』という訓練が開発され、物理学者デニス・ガポールが考案した『ガポール・パッチ』と呼ばれる模様を見るトレーニングにより、脳の処理能力を高めることを目指しています。

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 参考: 「眼科医だけが知っている一生視力を失わない50の習慣」「「目トレッチ体操」で近視や老眼、白内障、飛蚊症を改善する」SBクリエイティブ株式会社

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