知っておきたい呼吸法

体にうれしい呼吸法を意識的に行うと、体調がよい方向に変わっていくかもしれません。

●望ましい姿勢

肩は鎖骨、肩甲骨、上腕骨の3つの骨で形成されています。肩甲骨は鎖骨によって、ろっ骨と繋がっていますが、浮いているような状態で不安定です。この不安定な肩甲骨が望ましいポジションにあることが、呼吸では大切とされます。壁に背中をつけて、頭が上から糸で釣られているように首がまっすぐ上に伸びるように立ちます。お腹を掌で押すと安定感が強く感じられることを確認します。このような姿勢を肩甲骨が望ましいポジションにある「ニュートラルな姿勢」と呼ぶようです。ニュートラルな姿勢を保ち呼吸を行うことがよいようです。

●鼻呼吸

「口は、食事のために、鼻は呼吸のために」といわれることもあるようです。鼻は、鼻毛や粘膜で細かいゴミや花粉、細菌、ウィルスが体内に侵入することを防いでくれます。また、鼻呼吸は口呼吸に比べ1回の呼吸で肺に入る空気の量が少なくなるので、呼吸量が適切に調整されやすいといわれます。鼻呼吸を意識することで体調が改善する場合もあるようですので、普段から意識してみるとよさそうです。

●横隔膜を意識してゆっくり自然に

スマホやパソコンを見る前傾姿勢では、横隔膜をあまり使わない浅く速い呼吸になりがちです。望ましいのは肺の下にある横隔膜をしっかりと上下させる深くゆっくりとした呼吸といわれます。横隔膜を大きく動かさなくても呼吸はできますが、本来呼吸には使わない、首、肩、背中、腰回りの筋肉を必要以上に動かしてしまい、肩や首のこり、背中や腰の痛みを引き起こすこともあるようです。これらの痛みが意識しないうちに歩き方や座り方にも影響を及ぼし、股関節、膝、足首などへの負担が大きくなっていく場合もあります。また横隔膜をあまり使わず浅い呼吸になると酸素が十分に細胞に届かず、脳を含めからだ全体にダメージが蓄積され、不調を招くという心配もあります。
呼吸によって横隔膜が十分に動いているかどうかは、呼吸に伴う肋骨の動きで確認できるようです。両手の指を軽く開いて親指を背中側にし、肋骨の左右にあてて口または鼻から息をゆっくりと吐ききり、鼻から自然に息を吸いながら肋骨を左右に開いていくように意識します。息をゆっくり長く吐きながら肋骨が閉じ、やや下に下がっていくように意識し呼吸を数回続けます。息を吐いた時に肋骨が内側に動く感覚がないと横隔膜が十分に動いていないようです。しっかりゆっくり吐き切ることを意識し自然に吸うことで、指で動く感覚が得られることを目指すとよいでしょう。また横隔膜を動かすためには、その周辺の筋肉などの柔軟性、腹筋や背筋の筋力も関係します。横隔膜が動かしにくい方は、筋力や柔軟性のアップが必要かもしれません。
※ご自分の体調に合わせ、無理のない範囲で行ってください。

●適度な全身運動を

できる範囲で、全身運動を習慣的に行うとよいでしょう。からだ全体の筋肉や関節を動かすことは、姿勢を改善しからだの中心にある呼吸筋にもよい影響を与えます。また、全身を動かし柔軟性を高めることはゆっくりとした呼吸につながり、血流をよくし、酸素や二酸化炭素の出納を円滑にします。運動が難しい時はストレッチだけでもおすすめです。ストレッチは柔軟性を高めるだけでなく、緊張状態をやわらげて副交感神経を優位にします。

参考:「医者が教える正しい呼吸法」株式会社かんき出版、「入門!「全集中」の呼吸法」株式会社ワニ・プラス、「世界の最新医学が証明した究極の疲れない呼吸法」アチーブメント出版株式会社、「ロングブレスの魔法」株式会社幻冬社

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