唇の特徴
●唇の構造
唇には汗腺と脂腺が無く角層が非常に薄いので、皮膚の他の部位に比べて天然保湿因子がとても少なく、乾燥や肌あれを引き起こしやすい部位となります。角層が非常に薄いことと関連し、ターンオーバーはおよそ3.5日と非常に早くなっています。メラニン色素も無いため、皮膚の他の部位と比べると紫外線を防御する力が弱くなります。また、唇の表面には皮膚の溝の一種の多数の縦ジワがあり、話す、食べる、表情をつくるなど唇の動きに順応する大切な役割を果たしています。
●唇の色は血流の色
唇も皮膚の一部ですが顔の他の箇所と違って赤く見えます。その理由は角層が非常に薄く有色細胞が無いことにより細胞の透明度が高く、唇の表皮の下にある多くの毛細血管が透けて見えるからです。そのため血液の状態がそのまま唇の色に表れます。たとえば貧血状態では赤みが薄くなり、血液中の酸素が欠乏している状態では暗い紫色に変色するため、唇の色から健康状態を判断することができます。加齢とともに赤みが減少し唇がくすんだ印象になることが多いのは、血流の低下や紫外線などの外的刺激によるダメージの蓄積が関係するようです。
●加齢による変化
唇の状態は年齢とともに大きく変化します。年齢を重ねると唇の奥にある真皮の構造が変化し、唇全体のハリやふっくらとした厚みがなくなる傾向があります。さらに、唇を支えている筋肉や周りの皮膚、骨の変化の影響もあり、平たい印象の唇になることが多いようです。唇が平たくなると唇の輪郭がぼやけて口元の印象が変わります。50代以降になると唇の周りと唇に深い縦ジワが多く見られるようになり、老齢の印象を強めます。また、唇の細胞が生まれ変わる速度も皮膚の他の箇所と同様、加齢とともに低下するといわれています。
参考:「肌トラブル大全」株式会社WAVE出版、「新しい皮膚の教科書」株式会社池田書店、日本化粧品技術者会ウェブサイト記事「唇」、ハースト婦人画報社Women’s Healthウェブサイト「唇が荒れる10の理由と、それをいますぐ治す方法とは?」、日比谷ヒフ科クリニックウェブサイト