近視とスマホ老眼
●近視人口の増加
スマホなどデジタル機器の急速な普及で近視人口は世界的に急激に増加し、現代は超近視時代と呼ばれています。人類は狩猟採集時代では主に遠くを見ていましたが、農耕による定住、集団生活、都市の発達、印刷物の普及と時代が進むにつれて近くを見ることが多くなりました。特に1960年代からのテレビの普及、1990年頃からのパソコンやゲーム機の普及、最近のスマートフォンの普及により、長い人類の歴史から見ると人類の生活は近くばかりを見る生活に変化しました。さらにコロナ渦もその変化を加速させたといえます。
近視の発生メカニズムはまだ完全には解明されていないようですが、焦点が合いにくいほど近くのものを見ていると目の眼軸が伸びるという現象がおきます。眼軸が伸びると近くは見やすくなりますが遠くは見えにくくなります。一度伸びた眼軸は元にもどることはなく、スマホやタブレットなど近くばかりみていると眼軸が伸びて近視となります。そうすると遠くがよく見えなくなります。近視は遠くが見えないだけでなく、慢性的な肩こりや頭痛、倦怠感、不眠などにつながり、さらにそれらの不調からメンタルヘルスの問題につながる心配もあります。
●実用視力の低下
デジタル機器のモニターは強い光であるブルーライトを発しています。スマホを毎日長時間見続けるということは、至近距離を見続けることに加え至近距離で強い光を受けつづけるということになり、2つの要因が目にダメージを与え目の機能低下へとつながります。目は近くを見るときは近くに、遠くをみるときは遠くにピントを合わせるという調整を常に行なっています。しかし、目の機能の低下によりピント調整がうまくできなくなってくると見えづらいと感じるようになります。視力検査で測定する『静止視力』とは別に日常生活の中でどれくらい見えているかを『実用視力』と呼びますが、この実用視力の低下を一般に『スマホ老眼』といい、日常的に長時間デジタル機器を使用する人はこのスマホ老眼になる可能性が高く、ケアを怠るとピント調整力の低下により年齢に関わらず遠くも近くもみえづらいということになりかねません。
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参考: 「眼科医だけが知っている一生視力を失わない50の習慣」「「目トレッチ体操」で近視や老眼、白内障、飛蚊症を改善する」SBクリエイティブ株式会社