骨粗鬆症

骨の状態は、年齢や生活習慣で変化していきます。

●骨粗鬆症とは

骨のカルシウム量が減少して骨が弱くなり、容易に骨折が引き起こされる状態を骨粗鬆症と呼びます。その基準は骨折がない場合、概ね若年成人平均値(YAMという)の80%以下になると骨量減少、70%未満で骨粗鬆症と呼ばれます。骨折がある場合は80%以下でも骨粗鬆症とされるようです。骨粗鬆症は閉経後の女性に多く発症することがわかっています。これはもともと女性の体格が男性に比べて華奢で、元来骨量が少ないことに加え、運動量や食事量が少ないことに由来しているとのことです。また、骨芽細胞の増殖、分裂、機能の促進、骨形成に関わるビタミンDの産生をサポートする働きをもつ女性ホルモン「エストロゲン」の分泌減少も原因になります。血液中のエストロゲン濃度が1/10位まで低下すると、骨破壊が骨形成を上回り骨萎縮が進んでいくとされます。しかし、個人差もあり女性でも男性並みの骨量の人もいれば、閉経前でも骨量が少ない女性もいるようです。
 

●腰の骨、背中の骨は弱くなりやすい

骨粗鬆症は全身の骨が同じように弱くなっていくのではなく、部位によってその進み具合は異なります。まず、血流の多い胸椎や腰椎で骨萎縮が進み、骨が弱くなると言われます。その結果として身長が低くなる、背中が円みを帯びてくるなどの変化が見られます。骨が弱くなっているところに、荷物を持ち上げる、からだをひねるなどの動作で力が加わると、胸椎や腰椎の圧迫骨折につながりやすく、また背中が円くなることで、背中や腰の筋肉に痛みが出る場合もあります。

●転倒による三大骨折

胸椎や腰椎が弱くなると全身のバランスを取りにくくなり、転倒しやすくなります。転倒による三大骨折と言われるのは、手首、太ももの付け根、腕のつけ根です。いずれも転倒した時に手をつく、膝をつくなどの咄嗟にとる行動で骨折につながることが多いようです。中でも転倒した時に膝や腰を打ちつける、太ももをねじるなどで生じる太ももの付け根の大腿骨骨折は、その後の生活への影響が深刻なケースも見られます。大腿骨はその構造から治癒に時間がかかるため、治癒中に筋肉が落ち体力が弱り、それによって歩行困難などになり、寝たきり状態へのきっかけとなってしまうことが少なくありません。また回復した後も再度の転倒を恐れて歩行や運動に消極的になって、活動量が減ることによりさらに骨が弱くなってしまうというケースが多くみられます。

※:岩波新書「骨の健康学」P153

参考:岩波文庫「骨の健康学」株式会社岩波書店、「プロが教える骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典」株式会社ナツメ社、全国健康保険協会HP、公益財団法人骨粗鬆症財団HP、健康長寿ネットHP、厚生労働省HP

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