紫外線とビタミンD


 

●ビタミンDと骨の健康

体内でのビタミンDの主な働きは、腸からのカルシウムの吸収を2〜5倍程度に増加させることです。ビタミンDが不足すると食事でカルシウムを摂っても吸収が難しくなりカルシウム不足になります。血液中のカルシウム濃度が低下すると、からだは骨からカルシウムを溶かし供給します。その結果骨の強度が低下して曲がりやすくなり、子供の場合はくる病に成人の場合は骨軟化症(成人)といった病気につながります。
太古の昔、海中から陸に出て生活するようになった生物は、重力に逆らって立ち上がり活動するために強く固い骨が必要になりました。しかし、食物だけではカルシウムの吸収をサポートするだけの十分なビタミンDが摂れず、紫外線を使って自分の体内でビタミンDをつくるように進化しました。体内に存在する7-デヒドロコレステロールという物質にUV-Bが照射されることによりビタミンDが皮膚で産生されます。この進化により食事と紫外線の両方からビタミンDを得ることができるようになりました。
ビタミンDは、きのこ類や脂身の魚類に多く含まれますが、必要量を食事だけで摂るのは困難です。多くの人は必要とするビタミンD量(1日400-1000単位、10-25μg)の半分以上を紫外線による産生から得ています。

※『紫外線環境保健マニュアル』環境省、2020年3月改訂版

 

●ビタミンDと紫外線量

ビタミンD産生のために短時間の日光浴は必要ですが、一方で紫外線には皮膚への影響や発ガン作用などもあります。紫外線を浴びる適切な時間は、地域や季節、時刻、天候、服装、皮膚色(スキ ンタイプ)など多くの要因に影響されるため一律に明示するのは難しいようです。しかし、環境省が示す下記データによるとビタミンD産生に必要な時間は比較的短いようです。顔、腕、脚を露出した場合、東京においては、7月では2分程度、12月では10分程度が目安になります。また、手のひらはメラニン色素が他の肌の部分に比べると比較的少ないことから皮膚へのダメージが起こりにくいとされ、手のひらでの日光浴を積極的に行うという考え方もあります。

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