ウェイトマネジメントと脂質
ウェイトマネジメントのみならず、健康管理の上でとても気になるのが脂質かもしれません。食事の中で、肉類の脂肪部分、揚げ物につかわれている揚げ油、ケーキやアイスクリームに含まれる乳脂肪分、これらは気になる油脂類の代表格ではないでしょうか。脂質は1gあたりのエネルギー量が高いため、少ない量でも効率的にエネルギーが摂取できる一方、体脂肪の蓄積につながりやすく、また血液中のコレステロールの増加にもつながるといわれてきました。
血中のコレステロールに関しては、脂質の過剰摂取が問題のようなイメージをうけますが、糖質を含むエネルギーの過剰摂取やホルモンの影響、体質などが関係します。また食品中のコレステロール量が多いことが、直接的に血中LDLを増やすとも限らないことが広く知られてきました。その例として卵は1日1個までなどと言われていましたが、2015年5月に日本動脈硬化学会が食事内容により体内のコレステロール値は大きく変わらないという発表をしました。
コレステロールは細胞膜など、からだの大切な構成要素の一つです。脂質がからだにとって有害であるようなイメージが先行していましたが、必要不可欠な栄養素であり、適切に摂取することが健康維持増進につながるという見方が広まってきました。
脂質の中でも、注目されているのはEPAやDHAなどの魚に含まれる不飽和脂肪酸のオメガ3系の油です。これらの油は動脈硬化や心疾患などのリスクを減らすといわれています。魚を食べる機会が少ない方は、亜麻仁油やエゴマ油を意識して摂るとよいかもしれません。また、最近注目されているココナッツオイルやMCTオイル(中鎖脂肪酸)は、エネルギー源にすばやく変わる特徴があります。※ 脂質を上手に食生活に取り入れて、健やかなウェイトマネジメントを実践していきましょう。
コラム 世界のデータ
権威ある医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」では下記の見解を2013年4月に発表しています。
油の摂取を控えたグループと、オリーブオイルを週1リットル摂取したグループで、5年間の動脈硬化発生率を比べたデータでは、オリーブオイルを摂取したグループの方が、発症率が30%低いことが検証されました。オリーブオイルを週1リットル摂取したほうがよいということではなく、脂質に関しての見解を新にする一つの情報としてとらえることができるでしょう。