骨のための食事と運動

骨粗鬆症は食事と運動で予防ができるとの報告が多くあります。

●摂りたい栄養素

骨は毎日の食事で食べたものからつくられます。骨が必要とする栄養素はカルシウムをはじめとしてビタミンD、ビタミンK、たんぱく質、マグネシウムなどです。骨にとって過剰摂取が懸念されるのは、リン、食塩、酒、コーヒーなどです。リンはカルシウムとのバランスで適量が必要ですが、加工食品にはリンが多く含まれるので過剰摂取が指摘されることもあります。

・カルシウム

体内のカルシウムの99%は骨に存在すると言われ、カルシウムの摂取が骨に大きく影響します。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日のカルシウム推奨量は30〜74歳の男性で750mg、18〜74歳の女性で650mgですが、 社団法人日本整形外科学会では、骨粗鬆症の予防としては800mgの摂取を目標とすることを推奨しています。一般的な日本人の食事ではカルシウム摂取量は不足傾向にあると言われます。日々の食生活でどれくらいのカルシウム量があるか一度確認してみるのもよいかもしれません。
多く含まれる食品:牛乳など乳製品、大豆製品、小魚、小松菜や大根の葉
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・ビタミンD

日光を浴びることにより体内でつくられ、食品からも摂れるビタミンDは、カルシウムの吸収や定着を助け、骨からカルシウムが排出されるのを防ぐ働きがあるとされます。日光に当たる場合は夏なら木陰で30分程度、冬なら1時間程度で十分とされます。
多く含まれる食品:鮭、秋刀魚、きのこ類
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・ビタミンK

骨を構成するビタミンKはカルシウムを骨に沈着させる働きがあります。
多く含まれる食品:納豆、小松菜、ほうれん草
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・たんぱく質

骨を構成するコラーゲンの材料になります。
多く含まれる食品:肉、魚、卵、大豆製品
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・マグネシウム

骨の弾力性を保つとされ、体内のマグネシウムの約6割が骨に含まれています。
多く含まれる食品:雑穀、玄米、ナッツ類、海藻類
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●適度な運動

運動をして骨に刺激を与えると、骨芽細胞の働きが活性化されるなどして骨の形成が促されます。骨量が著しく減る傾向にある閉経後の女性を対象にした研究で、1日25分間の室内運動で骨量の低下を予防するだけでなく、骨量を増加させたという報告※1があります。特にウォーキングやジョギングなど踵に重力がかかる運動がよいようです。踵から足裏全体でジャンプする、足踏みする、つま先立ちから踵を落とす動作などもよいようです。運動時間が長いほど、また骨にかかる負荷が大きいほど、骨量増加にはよいとされますが、怪我などの心配もありますので、無理をせずできる範囲で継続していくのがよいでしょう。また、運動をしなくても、仕事、家事、趣味など日常での活動度が高く、こまめに動く人は腰椎の骨密度が高かったという報告※2もあります。継続した運動の実践が難しくても、日々こまめに立ち動くことを心がけることがおすすめです。

●骨のために避けたいこと

過度な飲酒、喫煙、カフェイン摂取はカルシウム吸収に悪影響を与える場合があり、また極端なダイエットは栄養不足が懸念されるため、骨の健康のためには望ましくないようです。

※1:岩波新書「骨の健康学」P208  ※2:同P210

参考:岩波文庫「骨の健康学」株式会社岩波書店、「プロが教える骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典」株式会社ナツメ社、全国健康保険協会HP、公益財団法人骨粗鬆症財団HP、健康長寿ネットHP、厚生労働省HP

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