7大栄養素③ 脂質
細胞膜や血液などの構成成分であり、からだの働きの調整を助ける
脂質は生きていく上で欠くことのできない栄養素です。糖質が即効性の高いエネルギー源である一方、脂質は、貯蔵可能なエネルギーです。
ほかにも、生体膜の成分であったり、体温の保持や臓器を保護したり、ホルモンの材料となるなど、多くの役割を果たしています。
脂質の中でも代表的な「中性脂肪」を構成する「脂肪酸」は、体内のさまざまなことに関与しています。「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」の2つに大別され、体内で合成できないものは、摂取の必要があるとして「必須脂肪酸」と呼ばれています。脂肪過多の現代では、不足を心配する必要はありませんが、良質な脂質を摂取することが望まれます。
●脂質の種類
・単純脂質
主要成分は、グリセリンに脂肪酸が結合したもの(グリセリド)です。中でもグリセリンに3つの脂肪酸が結合した中性脂肪(トリグリセリド)が多くを占めています。主にエネルギー源として使われます。
・複合脂質
分子中にリン酸や糖などを含む脂質で、細胞膜の構成成分などとして体内で使われています。脂肪酸とリン酸やグリセリンなどが結合したリン脂質、糖やグリセリンなどが結合した糖脂質があります。
・誘導脂質
単純脂質や複合脂質から加水分解によって得られる脂質のこと。脂肪酸やコレステロールなどを含むステロイドなどがあります。
●脂肪酸とは
脂肪酸は、炭素の結合のしかたで、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。鎖状につながった炭素がすべて水素と結合したものが、飽和脂肪酸。炭素どうしが2重結合した構造のものを不飽和脂肪酸といい、その数が1つのものを一価不飽和脂肪酸、2個以上のものを多価不飽和脂肪酸といいます。多価脂肪酸のうち、リノール酸やα-リノレン酸などは、生命の維持に不可欠ですが、体内で作ることができないので食事から摂ることが必要です。そのため必須脂肪酸と呼ばれています。
●摂りすぎると
肥満、動脈硬化、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病の原因になります。
●不足すると
- エネルギーが不足して、疲れやすくなる可能性があります。
- 油に溶けるビタミン(ビタミンA・D・E・K)が吸収されにくくなり、からだの調子が悪くなる可能性があります。
- 肌の乾燥、肌荒れ、便秘になることがあります。
- 現代の食生活では、不足しにくい栄養素ではありますが、脂質を極端に減らすようなダイエットなどでは、不足する恐れがあります。