骨のつくり
骨はからだを動かす運動器の一つで、立つ、歩く、座るなど、全ての動作に関係しています。
●骨の構造
骨は約1/4がコラーゲン、3/4がカルシウムなどの無機質からできています。骨は単一な構造ではなく、内部でいくつもの組織・細胞で構成された複雑なつくりとなっています。骨の表面は骨膜によって覆われ、外側のかたい緻密質と内部のスポンジ状の骨梁(こつりょう)からなる海綿質でできています。さらに骨の中心部には骨髄が詰まっている髄腔(ずいくう)があります。骨膜とその直下にある緻密質はコラーゲン繊維によって密着し、緻密質の中はオステオン(骨単位)と呼ばれる多くの筒状の組織で構成され、骨単位の中には血管、骨を破壊する破骨細胞、骨を作る骨芽細胞、骨細胞があります。
●骨の新陳代謝
骨の中では破骨細胞、骨芽細胞、休眠状態の骨細胞の三種類が約3ヵ月のサイクルで骨形成と骨破壊を繰り返すとされています。破骨細胞は骨が古くなった場合や、血液中のカルシウムが足りなくなった場合に、自身の細胞から骨を削るブラシと酸を出して骨を壊し、骨から溶け出したカルシウムを破骨細胞が吸収し、血液に渡します。また破骨細胞は酵素を出して骨のたんぱく質も分解してしまうため、破骨細胞の下の骨は顕微鏡で確認できるほど削られていると言われます。破骨細胞は時には100以上の核をもつ大型のパワーあふれる細胞で、寿命は2週間ほどと短く、寿命を迎えて骨の破壊を止めると、休眠していた骨細胞が目を覚まし骨芽細胞となって活動を始める時期がくるそうです。
骨細胞が目覚め、骨芽細胞となるとコラーゲンをつくり、周りにカルシウムやリン酸などのミネラルを塗りこめて破骨細胞が壊した骨を再建していきます。しかし、パワーあふれる破骨細胞と比べて骨芽細胞は残念ながら微力なので、パワーシャベルで破壊していった建物を手作業で少しずつ建て直していくようなイメージです。そのパワー差のバランスをとるために、骨芽細胞は破骨細胞に比べ、10倍以上の数が存在するとの報告もあります。骨芽細胞は破骨細胞よりも活動期間が長く、2ヵ月ほど働くと休止状態となるようです。
参考:岩波文庫「骨の健康学」株式会社岩波書店、「プロが教える骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典」株式会社ナツメ社、全国健康保険協会HP、公益財団法人骨粗鬆症財団HP、健康長寿ネットHP、厚生労働省HP