呼吸のしくみ

1日に2万回以上する呼吸のメカニズムとは。

●呼吸に使う筋肉

呼吸をする時には肺の機能をサポートするために、20種類以上の肺周りの筋肉を使うとされ、これらはまとめて呼吸筋と呼ばれます。肺を覆うようにある肋間筋、胸鎖乳突筋に加え、深層にある腹筋である腹横筋、横隔膜も呼吸時に使われています。横隔膜は膜という名称ですが、呼吸にとって欠かせない大事な筋肉で、この横隔膜を意識的に使うことがポイントになるようです。肺自体の機能や働きのみならずこれらの筋肉がうまく動いていることが呼吸にとって大切です。現代人は運動不足や長時間のデスクワークなどによりこれらの筋肉が硬くなっていて動かせず、気付かないうちに呼吸が浅く速くなっていることが少なくないようです。

●酸素と二酸化炭素のバランス

呼吸では酸素をより多く取り込めばよいというわけではなく、二酸化炭素とのバランスが大切です。血中の酸素飽和度は96%以上が目安ですが、ストレスや運動で息苦しくなっても血中の酸素飽和度が著しく下がることはあまりないようで、酸素が体内に十分ある場合が殆どということです。酸素飽和度に問題が無いのになぜ息苦しさや疲労を感じるかというと、血中ではなく細胞が酸欠状態になるためとされます。酸素は血中に溶けず、ヘモグロビンという物質と結合してからだ中の細胞に運ばれますが、毛細血管を通って細胞に到達し、ヘモグロビンが酸素を切り離すのに二酸化炭素が必要になります。しかし、二酸化炭素が血中に不足しているとヘモグロビンは酸素を切り離して細胞に届けることができず、酸素はまた肺に戻り、未使用の酸素は吐き出されてしまうとされます。二酸化炭素が不足するのは浅く早い呼吸を続けることで、血中の酸素が増えすぎ相対的に二酸化炭素の量が少なくなることが理由で、ゆっくりとした呼吸では酸素と二酸化炭素のバランスを保ちやすいとされます。

●呼吸と姿勢の関係

呼吸と姿勢は相関するといわれます。姿勢が悪いと呼吸筋が正常に働かず、呼吸を浅くしてしまいます。また肩や首、背中や腰の筋肉が固くスムーズに動かないと、呼吸を浅くしてしまうことにつながるようです。スマホなどを見る前傾姿勢も呼吸に望ましいとはいえないようです。呼吸は姿勢と呼吸器、呼吸筋の全てが相関します。そしてこれらのバランスは自分の意思でコントロールできるといえるでしょう。

参考:「医者が教える正しい呼吸法」株式会社かんき出版、「入門!「全集中」の呼吸法」株式会社ワニ・プラス、「世界の最新医学が証明した究極の疲れない呼吸法」アチーブメント出版株式会社、「ロングブレスの魔法」株式会社幻冬社

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