声を出す筋肉「声帯」とは

喉の筋肉の「声帯」は、声を出すだけでなく多様な役割を果たしています。

●喉の仕組み

喉には呼吸、嚥下(えんげ:飲食物を飲み下すこと)、発声の3つの役割があります。これらは全く異なる3つの働きですが、会話をしながら食事もし、同時に呼吸をしている場合は、喉は3つの働きをほぼ同時並行で行っています。喉の奥は食道と気管に分かれていて、気管は咽頭蓋(こうとうがい)によって蓋をされることで、食事をするときに飲食物は肺に入らず食道に行きます。呼吸をする時は咽頭蓋が上に上がり食道はピッタリと閉じます。
声帯は気管の出入り口にある左右2本のひだのような形をした筋肉です。女性は1cm、男性は1.5cmほどの大きさです。声帯の表面は粘膜で覆われていて血管がほとんどない組織で象牙色、健康な時はツヤツヤと見えるようです。筋肉には自分の意志で動かせる随意筋と不随意筋があります。例えば手は自分の意志で動かせる随意筋ですが、自分の意志とは関係なく働いている心臓などの内臓は不随意筋です。声帯と声帯周辺の筋肉はほとんどが不随意筋で、自分の意思とは関係なく動きます。しかし、発声に関わる横隔膜と表情筋は随意筋で、この2つを訓練することにより発声をさまざまにコントロールできるとされます。

●発声の仕組み

声帯は左右一対のペアになっていて、力を入れる時、発声する時に閉じ、息を吸うときは開きます。肺からの呼気が左右の声帯の間を通り抜ける時に、声帯が細かく振動して発声する仕組みです。声帯がピッタリと閉じているほど響きが大きくなり、大きく強い声が出ます。声帯が開いていると空気が抜けて響きが少なくなります。

●さまざまな声帯の働き

声帯がピッタリ閉まらないと発声以外にも問題が出てくる可能性があります。食べ物や唾液が食道でなく気管に入る誤嚥(ごえん)、十分な呼吸量が得られないことによる息苦しさ、力を出しづらくなるなどです。力を入れるときは無意識のうちに息を止め踏ん張りますが、気管をピッタリ閉められなくなるとこの踏ん張りがききづらくなり、転倒、力が入らないなどにつながるようです。このように声帯の開閉がスムーズに行かないと、発声だけでなく日常生活にも影響が及ぶとされるのです。

参考:「声の専門医だから知っている こけない 老けない よろめかない 声筋のすごい力」株式会社ワニブックス、「声が20歳若返るトレーニング」株式会社ヤマハミュージックエンターテイメントホールディングス、「美顔ボイトレ」株式会社祥伝社

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