30回以上噛んでより快調に

よく噛んで食事をすることは、全身の健康と寄与するようです。

●激減した噛む回数

日本人が1回の食事中に噛む回数は激減しているといわれます。稲作がはじまったとされる弥生時代には、米、雑穀類、魚、肉などの食材が、現代の食事に近くなってきましたが、1回の食事で4,000回ほども噛んでいたようです。戦前は1,400回ほどとされ、昨今は600回までに激減しているといわれます。現代の食事がいかに柔らかく食べやすい物が中心になっているかが、噛む回数の激減から推察されます。噛むことは食物を噛み砕き消化しやすくする他に、多くのからだの働き、さらには美容とも関係することが数多くの研究で認められています。噛む回数を増やすことでさまざまな健康上のメリットを期待できるようです。噛む回数を増やし唾液が多く分泌されることで得られるメリット、噛むという物理的動作から期待されるメリットに分けて紹介します。

●唾液が多く分泌されることにより期待されるメリット

  • 唾液により歯の再石灰化が促進され、ムシ歯、口臭を予防
  • 満腹中枢を刺激し、食欲を抑えるヒスタミンが脳内で分泌され、食べ過ぎを防ぐ
  • 成長ホルモン、パロチンの分泌を促進
  • 抗菌作用がある酵素を含む唾液の増加で免疫力のアップ
  • 幸福感を高めるとされる神経性伝達物質、セロトニンの分泌の促進

中でもよく噛むことが食べ過ぎを予防することは、ウェイトマネージメントの対策として覚えておきたいことです。食べ物を咀嚼して脳の満腹中枢が反応するまでに、20分ほどの時間がかかるといわれていて、あまり噛まずに早く食べてしまうと、満腹中枢が反応するより前に過剰に食べてしまうことになりがちです。しかし、ひと口30回ほど噛むと食欲を抑えるヒスタミンが分泌されて、食べ過ぎを防ぐことができるとされます。また、ゆっくりと時間をかけて咀嚼すると血糖値の上昇のタイミングも適正になり、短いサイクルで空腹を感じないことも報告されています。

●噛むという動作により期待されるメリット

  • 目の周りの血流が増加し、疲れ目、老眼を予防
  • 脳内の血流が増加し、脳を活性化し記憶力が向上
  • 消化吸収にかけるエネルギーの節約により疲労回復が早くなる
  • 顎、表情筋をよく動かすことにより、タルミ対策、小顔対策

注目したいのは目の働きとの関係です。よく噛むことで白目の血流がよくなるという研究結果があります。白目の血流はピントや明るさを調節する目の筋肉の機能と関係し、目の機能の活性化や目の疲れの改善と関わります。スマートフォンやPCで目を酷使しがちな現代では、目の疲れを感じることも増加しがち。よく噛むことで疲れ目の対策ができるかもしれません。

参考:「「噛む力」が病気の9割を遠ざける」株式会社宝島社、「一生太らない体をつくる「噛むだけ」ダイエット」東京書店株式会社、「噛むだけでやせる!超健康になる!」株式会社マキノ出版

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