足は複雑な臓器
片足には28個の骨があり、左右の足を合わせると人体の骨の約1/4を占めています。靭帯、腱、動脈、静脈、神経、皮膚などで構成され、全体重を受け止め日々の歩行活動を支えています。
●歩行の要
足の裏には土ふまずの部分を中心にゆるやかなカーブがあり、これを「アーチ」と呼びます。踵(かかと)と小指の付け根を結ぶ外側の縦アーチ、踵と親指の付け根を結ぶ内側の縦アーチ、5本の指の付け根を結ぶ横アーチの3つのアーチが足にはあり、アーチがきれいに保たれていると体重が理想的に分散され、足に無理な負担をかけずに歩くことができます。
加齢で筋力が落ち踵の骨が内側に倒れてくると、内側のアーチが落ち込んで土踏まずの部分が地面につく扁平足になることが多く、アーチが崩れることで足を前に進める推進力が弱まり、足が疲れやすくなります。また、アーチの崩れにより足への力のかかり方が変わり、腰の痛みやからだ各所の違和感を生むこともあるようです。
●ふくらはぎの働き
ふくらはぎは、骨、筋肉、腱から成り、この全てを使って歩行します。代表的なふくらはぎの筋肉に下腿三頭筋があり、下腿三頭筋と踵の骨をつないでいるのがアキレス腱です。アキレス腱は人体最大の腱で白くて硬く15cmほどですが、1トンの重さにも耐えうるほど強靭です。歩く力の維持にはアキレス腱のやわらかさが鍵となり、アキレス腱が硬いと歩くときにアーチをつぶすような動きになってしまい足裏に負担がかかります。
ふくらはぎの下腿三頭筋の収縮によるポンプ作用と静脈内の静脈弁は、血液を心臓に戻すうえで大きな役割を果たしています。歩いたり足先を動かしたりしてふくらはぎの筋肉が収縮すると血液はからだの上へと押し上げられます。この足のポンプ効果と心肺機能の両方の働きで全身の血流が促されています。
参考:「“歩く力”を落とさない!新しい「足」のトリセツ」株式会社日経BP、「死ぬまで歩きたい!人生100年時代と足病医学」株式会社 大和書房、「足の専門医が教える 100歳までスタスタ歩ける足のつくり方」株式会社アスコム