ゴースト血管

●毛細血管とは

毛細血管は毛髪の10分の1程度の細さで赤血球がやっと1つ通れるくらいの細さで、人間の全血管の95〜99%を占めます。毛細血管は主に内皮細胞と周皮細胞から成り、内皮細胞はさまざまな物質を分泌し血流を促しています。周皮細胞は毛細血管のまわりにからみつくようにつき血管を守っています。毛細血管の補修には血液中の血管幹細胞なども関わり、重要な毛細血管が途切れてしまった場合には毛細血管が枝分かれして増えていくこともあり、これを血管新生と呼びます。動脈や静脈の数は生涯変わることがありませんが毛細血管は年齢に関わらず増やすことができ、健康長寿の鍵といわれています。

●ゴースト血管とは

動脈や静脈は減ることはありませんが、新陳代謝を繰り返している毛細血管は年齢とともに減り、20代に比べると60代では4割も減るといわれます。また、加齢により毛細血管に絡みつく周皮細胞がゆるんでくると、血管の中身が漏れ出したり血流が低下します。このような血管は、管はあるけれど血液が流れていない「ゴースト血管」になります。ゴースト血管は血管が消滅する直前の状態で、この状態が長く続くと血管自体がなくなります。

●ゴースト血管の影響

ゴースト血管の先にある細胞には血液が到達できないため、酸素や栄養素が届かず老廃物も回収されません。毛細血管を流れる血液は免疫細胞やホルモンも運んでいます。ゴースト血管が増えるとその先の細胞の機能が低下し病気になりやすく老化が進みます。しかし、初期のゴースト血管なら復活が可能であることがわかってきているようです。また、毛細血管は年齢に関わらず、血流や自律神経の状態を整えることにより増やすことが可能といわれています。

●ゴースト血管対策

睡眠中は副交感神経が優位になり毛細血管がゆるんでからだ中に栄養分や酸素が運ばれます。睡眠中毛細血管から運ばれる栄養や酸素を使って傷ついた細胞を修復するなど、からだのメンテナンスが行われます。睡眠時間の不足や睡眠の質によってはメンテナンスに影響がでることもあり、質のよい睡眠はゴースト血管対策としても重要です。

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参考: 「ハーバード大&パリ大医学研究からの最新報告【図解】毛細血管が寿命をのばす」株式会社青春出版社、「「冷え症外来」の医師が教える 冷えとり習慣」株式会社イースト・プレス

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