ファイトニュートリエント 生と加熱
●生で食べるメリット
生で食べるのに適している野菜としてまずスプラウトが挙げられます。スプラウトは人為的に発芽させた新芽の総称で、カイワレ大根やブロッコリーがあります。発芽して間もない新芽は、細胞がどんどん活性化しさまざまな成長因子を含む時期です。特にブロッコリーのスプラウトにはファイトニュートリエントの一種であるスルフォラファンが含まれ、この成分には解毒力や抗酸化力を高める作用があることが広く知られています。スルフォラファンは熱に対して不安定ということで、生で食べることが推奨されています。
また、タマネギに含まれる硫化アリルは血液をサラサラにすることで知られますが、熱に弱いため生で食べるとよいようです。小松菜に含まれるファイトニュートリエントのイソチオシアネートは熱に弱く、やはり生で食べるのがよいようです。ナッツやオリーブオイルと一緒にミキサーにかけてペースト状にして、バジルソースのようにパスタや魚、肉のソースとして食べるのもよいでしょう。他にもビタミンB、葉酸などが熱に弱いとされています。
●加熱するメリット
ビタミンCは熱に弱いとかつていわれていました。しかし、最近の研究ではビタミンC、ポリフェノール、カロテノイドなど野菜の主要な機能性成分はいずれも熱に強く、通常の調理で加熱によって壊れることは殆どないことが報告されています。水溶性のビタミンCは野菜を茹でれば茹で汁の中に溶け出してしまうので、その茹で汁を捨てるとビタミンCは失われます。鍋物やシチュー、味噌汁など、煮汁ごと食べる料理では溶け出したビタミンCを摂取できます。多くの野菜は生食より加熱調理して食べた方がより効率的に栄養素を摂取することができます。加熱によって野菜の細胞壁が壊れて成分が吸収されやすくなり、生食の場合よりもカサが減って一度に多くの量を食べられるからです。
ハーバード大式スープと呼ばれる野菜スープが人気です。ニンジン、キャベツ、タマネギ、トマト、ナス、キノコなどを30分間以上煮込むことが特徴です。長く火にかけることで野菜の細胞壁が壊れ、細胞内部の有効な成分がスープの中に溶け出し多くの栄養素を一つのスープで摂ることができます。
関連記事:七大栄養素⑦ ファイトニュートリエント
参考:「ハーブのすべてがわかる事典」株式会社ナツメ社、 「ハーブ便利帳」株式会社NHK出版、「暮らしの図鑑 ハーブの癒し」株式会社翔泳社、「予防医学の名医が教える すごい野菜の話」株式会社飛鳥新社、「カロテノイド」厚生労働省e-ヘルスネット、「ファイトケミカルとは」公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット