筋肉をつける栄養素
たんぱく質が筋肉になるにはさまざまな栄養素の助けがあります。筋肉の合成をサポートする代表的な栄養素を紹介します。
●ビタミンB群
ビタミンB6はたんぱく質がアミノ酸に分解されたあと、アミノ酸の代謝に不可欠な酵素の作用を助ける補酵素として働き、体内でのたんぱく質の利用効率を高めます。そして、アミノ酸から別のアミノ酸をつくる時にも補酵素として働き、たんぱく質から筋肉を合成することを助けます。その他にアミノ酸がエネルギー源として利用される場合にもビタミンB6が必要です。また、摂取したビタミンB6が体内で働くにはビタミンB2の働きが必要となるので、ビタミンB6とビタミンB2を一緒にとることが望ましいのです。
ビタミンB6を多く含む食材:マグロ、カツオ、サバ、鶏ささみ肉、レバー、にんにく
ビタミンB2を多く含む食材:レバー、うなぎ、鶏卵(卵黄)、牛乳、ナッツ、納豆
●ビタミンD
筋肉の収縮にはカルシウムが不可欠となり、トレーニング時にも消費されます。ビタミンDはこのカルシウムの吸収を助ける大切な働きがあります。その他にビタミンDには筋肉の合成を促進するテストステロン(男性ホルモン)の分泌を促進させるという報告があり、筋たんぱく質の合成にビタミンDが関与していることが近年の研究でわかってきています。
ビタミンDを多く含む食材:鮭、マス、サンマ、鯵、イワシ、きのこ類
●BCAA
BCAAとは、バリン、ロイシン、イソロイシンという3種類の必須アミノ酸の総称です。筋肉を構成するたんぱく質の約35%を占めています。筋トレや運動でエネルギー源となる筋肉内のグリコーゲンが減少すると、筋肉中のBCAAが筋肉を動かすエネルギー源として消費され、筋肉の分解が進行します。しかし、筋肉トレーニングの前、トレーニング中にBCAAを補給すると血液中のBCAA濃度が高まり、筋肉の分解を抑えることができます。BCAAは他の必須アミノ酸とは異なり、肝臓ではなく筋肉内で代謝されるため、摂取しても肝臓に負担をかけずに筋肉に素早く届くとされます。
BCAAを多く含む食材:鶏ムネ肉、マグロ赤身、豚肉、牛肉、鶏卵
●アルギニン
体内で合成される非必須アミノ酸の一つです。体内で合成はされますが、体内合成量だけでは不足しやすいことから、準必須アミノ酸と呼ばれます。アルギニンは筋肉の合成に関係する成長ホルモンの分泌を促進します。また、血管を拡張して血流量を増やす一酸化窒素の生成を促進し、筋肉合成反応をサポートするとされます。
アルギニンを多く含む食材:鶏肉、豚肉、マグロ、紅鮭、海老
●グルタミン
体内で合成される非必須アミノ酸の一つです。筋肉中の遊離アミノ酸(たんぱく質を体内で合成しないアミノ酸)の約4割を占めるといわれます。体内で合成されるため通常の食生活で不足することはありませんが、激しい運動などでからだにストレスがかかると大量に消耗され、不足しやすくなることから準必須アミノ酸ともよばれます。体内のグルタミンが減ると筋肉の分解が進行します。グルタミンは成長ホルモンの分泌も促進し、免疫機能を向上させ疲労回復もサポートします。グルタミンは熱や水、酸に弱く、調理により減ってしまうので、効率よく摂取する一つの方法としてサプリメントを活用するのもよいでしょう。
グルタミンを多く含む食材:刺身、生卵