股関節の仕組み
股関節は骨盤と太ももの骨をつなぐ関節で、鼠蹊部(そけいぶ)と呼ばれる膝を高く上げたときにズボンに折り目ができる線の真ん中あたりの奥にあります。股関節はソケットにボールが収まったような球状関節で、広い範囲・方向に動かせるのが特徴で、自由に動かすために股関節の周りには4つの靭帯と22の筋肉があります。4つの靭帯は、腸骨大腿靱帯、恥骨大腿靱帯、坐骨大腿靱帯、大腿骨頭靭帯、22の筋肉は腰、太もも、お尻についている腸骨筋、大腰筋などです。
●股関節の動く範囲
球状関節である股関節は、前に脚を上げる「屈曲」、後ろに脚を上げる「伸展」、内側に動かす「内転」、外側に動かす「外転」、大腿骨の軸を中心に回転させる「内旋」・「外旋」の6つの方向に動かすことができます。しかし、関節が変形する、靭帯に問題が起こる、股関節周りの筋力が低下するといったことが起こると、動かせる範囲が狭まることになります。開脚がしにくくなる、股関節が詰まる感じがする、立ち上がり歩き始めなどの動きだす時に脚の付け根に痛みを感じる場合は、股関節周りで問題が起きていることが考えられます。
●股関節と姿勢
人間はまっすぐ立つために、背骨、骨盤、股関節、ひざなどの位置関係や傾きを微調整しながら常にバランスをとっています。股関節の動きが悪いとひざや腰を曲げてバランスを調整しようとして股関節に負担がかかります。または腰やひざが悪いことで股関節の問題を招くこともあります。
無意識にとっている姿勢が股関節に負担をかけていることもあります。いつも同じ肩にバッグをかける、同じ手でカバンやスマホをもつ、同じ側の足に体重をかけて立つ、同じ方の足を組むなど、左右どちらかに偏っているような場合です。また、骨盤を後傾させて座る「仙骨座り」の姿勢も股関節への負担になるようです。これらの姿勢により背骨や股関節に偏ったストレスがかかり、股関節周りの問題につながる場合も少なくありません。
参考:「東大教授が本気で教える「股関節の痛み」解消法」株式会社 中央公論新社、「骨盤・股関節の医学」株式会社さくら舎