酵素の特長
●働く相手がきまっている
酵素は何万種類もありますが、それぞれが働きかける相手は決まっていて、例えばアミラーゼはでんぷんを分解しブドウ糖に変えますが、たんぱく質を分解することはありません。このような性質は酵素の基質特異性と呼ばれます。酵素は何種類もの働きを行うことができず、ひとつの酵素ができることはひとつと、限られています。私たちのからだは、体内に入ってきた食物に対して必要な酵素を必要な量だけ分泌し、消化吸収を行っています。
●一定の環境条件が働きに必要
それぞれの酵素が働くには一定の環境条件が必要です。人間では温度は35℃~40℃の範囲、そしてpHは殆どの酵素では中性のときに最も働きがよくなりますが、胃の中は酸性であるため胃で働く酵素は酸性のときに最も働きがよくなり、中性では働かなくなります。このように温度やpHの条件が整ったときのみ酵素は働きます。人間のからだのみならず食物に含まれる酵素も同様で、加熱した状態、冷凍した状態では酵素は働きません。よって、食物から酵素を摂取するには加熱せず生の状態で食べることが必要です。
●酵素の優先順位
酵素は一生のうち一定の量のみ生産されるとされ、その生産にはからだの中で優先順位がつけられ、生命維持に重要な部位が優先されます。例えば毛髪はチロシナーゼという酵素がメラニン色素に働きかけ色がつきますが、酵素が働かないと白髪になります。毛髪での酵素生産は、心臓や肺での酵素の活動に比べ生命維持での優先順位が低いとされて、加齢にともない酵素の生産量が減少してくることが、白髪が増える原因の一つになると考えられています。