30回以上噛むために
バランスがとれた噛み合わせと食事習慣を見直して、「よく噛む」を実現しましょう。
●噛み合わせの全身への影響
噛み合わせが原因で起こる全身の不調は、「咬合(こうごう)関連症」と呼ばれ、顎(がく)関節症、頭痛、めまい、耳鳴り、難聴、肩こり、腰痛、ひざ痛、不眠など、全身の不調に影響するようです。あごは地面から約130〜150cmも上方で頭蓋骨から側頭筋などによりぶら下がっています。そのぶら下がり方のバランスは噛み合わせのみならず、全身と関連するようです。バランスよい噛み合わせに重要なのが歯やあごの形、あごの位置、あごの動きですが、専門家によると9割以上の人はあごがずれているということです。あごがずれた状態では体が常時バランスを欠いて、不自然な姿勢を強いられてしまうのが問題とされます。また、噛み合わせには、歯並びや、歯の消失と共に、左右前後どこかに偏って噛む「噛み癖」も大きく影響するようです。日本人は特に、奥歯だけに偏って噛む人が多いとされます。噛み方に偏りがあると左右前後で歯の高さに差が生じ、そのバランスをとろうとするため、頭全体から首や肩、ひいては全身の筋肉の緊張へとつながります。
●噛み合わせのバランスをとる
本格的な噛み合わせ治療は専門歯科医の受診となりますが、日常的なあごのずれを戻すのに意識するとよいことがあるようです。あごの力を抜いてリラックスし、唇を閉じたまま上下の歯を触れ合わせず、2〜3mmあけるイメージで背筋を伸ばして姿勢を正し、そのまま20分ほど自然な呼吸で何も荷物を持たずに歩きます。筋肉の緊張がほぐれるにつれて重力の働きであごがおのずと正しい位置に納まり、普段より噛みやすくなるとのことです。また、ほおづえ、うつぶせ寝は、あごがずれる原因に繋がるようなので避けたほうがよさそうです。
●30回噛むことを習慣にする
噛むときは前後左右に偏らないよう、満遍なく歯を使うことを心がけたいものです。30回噛む実行法としては、ひと口ごとに箸を置く、カレンダーの日付を目で追いながら30回噛むなどがあります。テレビを見ながらの食事は噛む回数の減少につながることもあるようですので、食事に集中し楽しみながら噛むことを意識しましょう。また、空腹を強く感じる前に食事をすることや、時間に追われて食事をする事態を避けるなど、早食いの原因となる状況をつくらないことも大切です。
●食事の内容を見直す
豆類、海藻類、野菜、キノコ類、イモ類は、噛む回数が自然と増えるようです。これらの食品を用いたメニューを食事の中に増やしてみてはいかがでしょうか。健やかな明日は「よく噛むことから」ともいえるかもしれません。
参考:「「噛む力」が病気の9割を遠ざける」株式会社宝島社、「一生太らない体をつくる「噛むだけ」ダイエット」東京書店株式会社、「噛むだけでやせる!超健康になる!」株式会社マキノ出版