軟骨の役割
関節の軟骨は、私たちのからだが動くときに大切な役割を担っています。膝の関節軟骨は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)のそれぞれの接触面を薄く覆い、関節が動く際に骨と骨の衝突や摩擦を防ぐクッションの役割をしています。クッションが薄くなると関節の動きにきしみが生じたり骨どうしが直接ぶつかったりして、関節のそばの神経が刺激され痛みを引き起こします。人の全身にある軟骨には組織成分の違いにより硝子軟骨(しょうしなんこつ)、線維軟骨(せんいなんこつ)、弾性軟骨(だんせいなんこつ)があります。膝などの関節軟骨は硝子軟骨で、半月板は線維軟骨にあたります。
●関節軟骨の構造と組織成分
人の軟骨は損なわれ減少することはあっても再生することはほとんどないと言われています。代謝により作り替えられていますが高齢になると基礎代謝が衰えすり減った分に生成が追い付かなくなっていきます。そのため加齢とともに膝に痛みを抱える人が多くなるのです。
人の関節軟骨は3~5ミリと薄く軟骨はプラスチック製の消しゴムのような硬さ・弾力と言われています。軟骨の60~80%は水分が占め残りの約20%は軟骨基質(細胞間にある物質)です。軟骨基質を構成するものは繊維質のコラーゲン、たんぱく質に糖が結合した糖たんぱく質の一種であるプロテオグリカンなどで、プロテオグリカンにはヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸が含まれます。これら(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸など)はグルコサミンなどが原料となっており水分保持の役割をしています。軟骨細胞が軟骨全体に占める割合は約1%です。
●軟骨がすり減る原因
軟骨は加齢による減少の他に膝にかかる負担など外的要因によって損傷したりすり減ったりします。最も多い原因は体重が重いことによる膝への負担です。無理な運動によっても軟骨はすり減ります。脚の筋力の低下や過去に膝に負担のかかるスポーツを経験していたことも原因になり得ます。円背(えんぱい:背中が丸くなっていること)、O脚などの骨格的な要因によるものもあります。また足に合わない靴やかかとの高いヒールの靴を履くことでも膝に負担をかけます。そして変形性膝関節症の患者は女性が男性の4倍と言われています。女性は閉経によりコラーゲンの生成に関わる女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少するため閉経後の女性に疾患が多く見られます。