ボディマネジメント 食品の選択

●栄養3・3運動

栄養3・3運動は健やかな毎日のための基本的な食生活のあり方を簡単に示したもので、「3・3」は、3食と3色を意味し、毎日、朝、昼、夕の3食と、3色食品群(栄養3色)の揃った食事をとるよう勧めるものです。3色食品群とは食品がもつ栄養素の働きの特徴によって食品を「赤、緑、黄」の3つに分類したものです。赤色の食品とは、肉、魚、卵、大豆、牛乳など「血や肉をつくる食品」、黄色の食品はご飯、パン、芋、砂糖、油など「働く力になる食品」、緑色の食品は野菜、海藻、果物など「からだの調子を整える食品」です。3色食品群の歴史は古く昭和27(1952)年に広島県庁の岡田昌美技師が提唱したのが始まりです。
最近では食品を「太りやすい食品」と「太りにくい食品」に分け、健康やダイエットに活かす考え方があります。ここでは栄養3・3運動の各色の食品を「太りやすい食品」、「太りにくい食品」という視点から紹介していきます。

●赤色の食品

赤色の食品、肉、魚、卵、大豆、牛乳などの「血や肉をつくる食品」はタンパク質を含みます。タンパク質の摂取量を増やすことは食欲を抑え、エネルギー摂取量を減らし、食事誘発性熱産生を高めることでエネルギー消費量を増えることが報告され、体重1kgあたり1.2-1.9gのタンパク質の摂取がダイエット効果を高め、リバウンドを防ぐと推奨する報告もあります。タンパク質を含む食品で「太りやすい」「太りにくい」に影響するのは、その食品に含まれる脂質が体脂肪として蓄積されやすい飽和脂肪酸やトランス脂肪酸であるか、飽和脂肪酸に比べて体脂肪として蓄積されにくい不飽和脂肪酸であるかという点と、エネルギー密度※が関係しています。肉は、赤い肉(牛肉、豚肉など)、加工肉(ソーセージ、ハム、ベーコンなど)、白い肉(鶏肉)に分類できます。飽和脂肪酸を多く含みエネルギー密度が高い赤い肉と加工肉は、複数の研究で肥満のリスクを増加させ、皮なしの白い肉(鶏肉)は、肥満や病気のリスクを軽減することが報告されています。
EPAやDHAといった不飽和脂肪酸を豊富に含む魚と大豆が「太りにくい食品」であることは広く認められています。卵は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方を含みますが、不飽和脂肪酸の方が多く「太りにくい食品」といえます。さらに卵は完全食品と言われるようにビタミンC以外の多くの栄養素を含みます。牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品に関しては、ハーバード大学の最長24年にわたる大規模調査では「太りにくい食品」であると報告されています。

※エネルギー密度とは食品に含まれるエネルギー量をその重量で割った値。

●黄色の食品

黄色の炭水化物は糖質と食物繊維の総称です。炭水化物は食物繊維の量により「太りやすい」と「太りにくい」に分けられます。2020年のセント・マイケルズ病院の報告によると、食事に制限を設けない自由摂取でも食物繊維を多く摂取すると、体重、BMI、体脂肪率が減少することが示され、1日あたり30g以上の食物繊維の摂取で体重減少効果がみられたということです。
食物繊維の多い炭水化物を摂取すると満腹感を得やすく、自然とエネルギー摂取量の減少につながりダイエット効果を健康的に高めるといえます。食物繊維の多い「太りにくい」炭水化物は、玄米、オートミール、もち麦、全粒粉のパン、蕎麦粉の多い蕎麦などが挙げられます。食物繊維の少ない「太りやすい食品」としては、白米、精製された小麦で作られたパンが挙げられます。

●緑色の食品

緑色の野菜や果物に関しては、含まれる炭水化物や糖質、食物繊維や水分量などにより「太りやすい食品」か「太りにくい」食品かに分類されます。野菜の中では炭水化物を多く含む芋類やかぼちゃ、トウモロコシなどは「太りやすい食品」とされます。果物に関しては果糖を多く含む食品ほど「太りやすい食品」に分類されます。甘味が強いドライフルーツなどは果糖を多く含むため食べる量に注意が必要です。
ハーバード大学が野菜と果物の摂取量と体重の増減との関連について、13万3,468名の男女を対象に24年間の調査結果を解析した研究があります。この解析によるともっとも太りにくい野菜は大豆で、次いでカリフロワー、ブロッコリー、ピーマン、芽キャベツやホウレンソウなどの葉野菜において高い減量効果が認められ、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシには増量効果が認められていません。果物ではやせる評価が最も高いのはブルーベリーで、プルーン、リンゴ、イチゴ、ブドウ、グレープフルーツに減量効果が認められ、どの果物でも太る効果は認められていません。フルーツに含まれるポリフェノールの一種のフラボノイドは、筋肉への糖の取り込みを増加させ脂肪細胞への糖の取り込みを減少させるという報告があるようです。
アメリカと日本では食習慣が異なり野菜とみなす食品も日本とは異なります。また肉や穀類を多く食べていた人が野菜や果物の摂取量を増やすことにより、肉や穀類の摂取量が減って体重が減少した可能性もありますが、参考になる研究報告ではあります。さまざまな研究結果からボディマネジメントに際し、大豆、葉野菜、ブルーベリーなどの摂取を推奨する学者もいるということです。太りにくい野菜と果物の摂取量を増やすことは有効であるだけでなく、病気での死亡や発症のリスクを減少させることも報告では示されています。

関連記事:ウェイトマネジメントの栄養学
関連記事:ウェイトマネジメントと糖質
関連記事:ウェイトマネジメントと脂質

参考:「ニュートン式 超図解 最強に面白い!! ダイエット」株式会社ニュートンプレス、「科学的に正しいダイエット 最高の教科書」株式会社KADOKAWA、「医者が教えるダイエット、最強の教科書」株式会社ダイヤモンド社、「最強の食事戦略 研究者と管理栄養士が考えた最終解答」株式会社ウェッジ

SHARE