年代別に必要な栄養素
私たちのからだが必要とする栄養素は、年齢やライフスタイルなどによって変化します。今の自分に必要な栄養素、正しい食事についての知識を身につけることは、生活習慣病を防ぎ、すこやかな毎日を過ごすためにとても大切です。
●乳児期(誕生~1歳)
母乳は乳児にとって唯一の完全栄養食といわれています。母乳が不足する場合などは、人工乳を与えます。また、生後2ヶ月を過ぎた頃から、果汁やスープなどを与えることができます。生後5~6ヶ月になると、母乳だけではエネルギー、たんぱく質、鉄分などが不足するので、ピューレ状の野菜や果物などから離乳食を始めるときです。
重要な栄養素
●幼児期
からだや食習慣の基礎をつくる大切な時期なので、いろいろな食品を幅広く摂ることが大切です。また、この時期は消化機能や咀嚼力が未熟なので、朝・昼・晩の3食の他、それぞれの活動量や食欲に応じて1~2回の間食を加えます。
重要な栄養素
必須アミノ酸、カルシウム、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2
●学童期
成長期であるとともに、正しい食習慣を定着させるために重要な時期です。3食きちんと食べること、好き嫌いなくさまざまな食品を摂ること、糖質や脂質を摂りすぎないことが大切です。脂肪の少ない赤身肉や豆類など良質なたんぱく質、乳製品や魚、野菜、果物などをバランスよく摂りましょう。
重要な栄養素
必須アミノ酸、カルシウム、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2
●思春期
成長のラストスパートで、男女差が大きくなる時期。特に骨の密度は20歳までに完成するので、カルシウムが不足しないよう十分に摂取しましょう。また、学校の部活動や塾など、家族と生活リズムが異なることも多くなりますので、食生活の乱れや栄養の偏りがないよう気をつける必要があります。女性は初潮を迎えると鉄分が不足しがちなので、きちんと摂ることが大切です。また、やせ願望が高まる傾向にあるので、エネルギーやたんぱく質、カルシウムなどが不足しないよう、正しい食生活を維持しましょう。
重要な栄養素
良質なたんぱく質、不飽和脂肪酸、カルシウム、鉄、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB群
●成人期(女性)
妊娠、出産、更年期など人生の節目で体重の変動が起こりやすくなります。適度な運動と栄養バランスに気をつけ、適正な体重を維持することが大切です。ビタミン類やファイトニュートリエントなどは活性酸素を消去し、老化を防ぐ働きがあるとされているので上手に摂取しましょう。閉経期になると骨量が減少して骨粗しょう症のリスクが高まるため、若い時期からカルシウムをはじめとする骨形成に関与する栄養素をしっかり摂取し、十分な骨量を保つことが大切です。また、更年期障害が気になる時期には、女性ホルモン様作用のある大豆イソフラボンなどを摂ることもおすすめです。
重要な栄養素
良質なたんぱく質、鉄、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンC、葉酸
●妊娠期
胎児に酸素を運ぶため血液量が約1.5倍に増えるといわれ、水溶性ビタミンの不足や貧血になりやすい状態です。また、妊娠初期の体調不良には、ビタミン、ミネラルの不足が影響しています。
重要な栄養素
●成人期(男性)
仕事などのストレスや不規則な生活習慣から、生活習慣病や肥満になりやすい時期。適度な運動と正しい食生活を心がけ、適正体重を維持することが大切です。外食が多いと、エネルギーや脂質の摂り過ぎ、野菜不足になりやすいので、主食・主菜・副菜のバランスを考えてメニューを選ぶことを心がけましょう。また飲酒の量や頻度にも気を付ける必要があります。
重要な栄養素
ビタミンC、ビタミンE、セレン、亜鉛、葉酸、ビタミンB群、必須脂肪酸
●高齢期(65歳以上)
咀嚼力や消化機能の低下、歯の欠落や味覚・嗅覚の低下、基礎代謝量の低下、活動量の減少などにより、食欲不振になる場合があります。体調や活力を維持するために大切なビタミンやミネラルをしっかり摂りましょう。脱水傾向になりやすいため、水分を十分に摂取することも重要です。また、筋肉を維持するために適度な運動を取り入れ、転倒や骨折を防ぐことも大切です。
重要な栄養素
良質なたんぱく質、ビタミンD、ビタミンE、カロテノイド、ビタミンK、ビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、カリウム、亜鉛、セレン